Vol.0694
<タックスニュース>
盛り上がらない目玉政策 新NISAが来年スタート
「少額投資非課税制度(NISA)」の新たな制度が2024年1月からスタートする。年末までに旧制度で投資をすれば有利な側面を持つが、機運の高まりに欠ける。「資産運用立国」を掲げる岸田政権の目玉政策の課題になりそうだ。
NISAとは株や投資信託で得られた利益や配当にかかる約20%の税金がゼロになる制度。これまでは上場している会社の株式などを購入できる「一般NISA」と、長期の投資に適した「つみたてNISA」のどちらかを選ぶ必要があった。新制度ではそれぞれ「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に名称が変わり、両方に投資ができる。
年間投資額も大幅に拡充される。成長投資枠が従来の2倍の年240万円、つみたて投資枠は3倍の年120万円で、併用すれば年間360万円の投資ができる。保有限度額も倍以上の1800万円となり、非課税で保有できる期間も無期限となる予定だ。
23年末までの投資分は今の制度が適用されるが、この投資分は新制度の保有限度額に含まれないため、その分だけ非課税になる枠が広がると言える。NISAが気になっている人にとって、投資を始めるいいタイミングだろう。まずは証券会社や銀行などでNISA口座を開設し、元本割れのリスクがある商品もあるため、しっかり吟味した上で投資をしたい。
一方、政府は国民の多くが財産を銀行に預けている現状を変え、投資で個人の資産形成や企業の成長につなげる状況を目指す。NISA口座数は23年3月末時点で約1870万口座だが、政府は3400万口座に増やす目標を掲げる。金融庁の幹部は「業界団体などと連携したセミナーや分かりやすいガイドブックの配布など、長い目でみた金融教育が大切だ」と語る。投資に消極的な風潮を打破し、日本の成長につなげる分岐点にさしかかっている。
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<タックスワンポイント>
クレカ納税のメリットとデメリット ポイントもらえるが手数料が発生
地方税で先行して始まったクレジットカード納税が国税でもできるようになったのは2017年からだ。それ以降、国税のクレカ納付の利用は徐々に増え、20年度時点では国税の29%がクレカを含むキャッシュレス形式で納付されたという。現在では自動車税や固定資産税、不動産取得税、個人事業税などの地方税に加え、所得税、法人税、消費税、相続税など国税などほとんどの税目でクレジットカード納付することが可能だ。また加算税・延滞税といった附帯税も納付できるようになっている。
税金をクレジットカードで納付する最大のメリットは、納付することでクレジットカードのポイントを貯められることだろう。その他、24時間いつでも税金を納付できること、分割やリボ払いなどにすることで税務署に申請などしなくても分割して納付が可能になるなどのメリットが挙げられる。
一方のデメリットとしては、納付額に応じて手数料がかかることがある。国税では納付税額1万円までは83円、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別)の決済手数料が加算される。なお、すでに「口座振替」による納付手続きをしている税目については、クレジットカードによる納付はできない。改めてカードで納付したいと思うなら、事前に口座振替廃止届を提出するなどの対応が必要となる点を覚えておきたい。
最後に、地方自治体によっては、まだクレジットカードでの納付に対応していないところもある。また対応している自治体でも手数料は一律でないので、地方税をクレカ納付したいなら各自治体に事前に問い合わせるほうがよいだろう。
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