<タックスニュース>

税制改正大綱  住宅・自動車業界への優遇続々

政府・与党は2021年度の税制改正で、新型コロナウイルスの感染拡大による販売低迷にあえぐ住宅や自動車業界を支えるための施策を打ち出す方針だ。もともと消費増税対策として導入した住宅ローン減税の特例措置について、今年いっぱいに設定されている入居の期限を延長。自動車の購入時に課税する「環境性能割」を1%分軽くする制度についても、延長する方向で検討する。税制面で消費を喚起し、企業の収益を下支えする考えで、年末に取りまとめる税制改正大綱に盛り込む。
住宅ローン減税は、住宅ローン額の1%を所得税から10年間控除する仕組みだ。現在は19年に消費税率を10%に引き上げた際の特例により、20年12月までに入居すれば控除の期間は3年間延長されて13年間となる。
ただ契約から入居までは時間がかかるケースがほとんど。新型コロナを受け、不動産業界には入居期限を22年末まで延長するよう求める声が多く、国土交通省も同調している。財務省主税局には「消費増税への対応策をそのまま延長するのは避けたい」と否定的な見方があるものの、「菅義偉首相に恩を売る材料は多いに越したことはない」と政治的な思惑が絡んで延長を容認する意見が大勢を占めている。
また19年10月の消費増税では、燃費に応じて自動車購入額の1~3%を課税する「環境性能割」について、時限的に1%分を軽減する措置も併せて導入していたが、新型コロナによる景気減速で購入期限が21年3月に延長されている。
経済産業省は、さらに1年程度の再延長が必要とみて財務省と折衝を続ける。車検時に支払う自動車重量税などに適用されるエコカー減税も、継続していきたい意向だ。

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<タックスワンポイント>

売掛金の損金化のための3つの条件  止まらないコロナ倒産、万一の事態も想定内に

コロナ禍での企業倒産ラッシュが止まらない。帝国データバンクによれば9月末時点でのコロナ関連倒産は563件(個人事業含む)に上り、そのうち負債総額5億円未満が468件を占めるなど、中小事業者の倒産が目立つ。
取引先とも協力しながらなんとか苦境を乗り切りたいところが、だが経営者としては取引先の資金力はシビアに注視することも求められる。いかに営業が順調で安定した売上があったとしても、売掛金が回収できなければ黒字倒産ということにもなりかねない。売掛未回収のまま取引先が倒産すれば信用問題にも発展し、次は自社が健全な取引先から距離を置かれることにもつながる。
取引先からの回収が不可能であれば、少なくとも受け取れない売掛金を損金にしたい。未回収の債権を貸倒損失として計上にするには、更生・再生計画の認可決定があった場合など法律上の貸倒れ状態にあるとき、相手の資産状況から回収不能が明らかなとき、取引停止から1年以上経って形式上の貸倒状態にあるときのいずれかに該当することが必要だ。
つまり、回収不能ゆえに債権放棄をしたことが証明できれば損金にすることが可能となるため、まずは放棄する旨を内容証明で相手に伝える必要がある。仮に取引先が夜逃げをしていて内容証明が届かなくても、郵便局から戻ってきた文書を保管しておけば税務署への説明に使える。ただ、その取引先と会社に資本関係や同族関係があると、貸倒損失として損金にすることが認められない可能性がある。貸倒に該当しない債権放棄は寄附金として扱われるため注意したい。
なお、売掛金を損金にできる事業年度は、更生計画開始が決定した時など債権回収が不可能となったときと決まっているため、黒字になった年に合わせて損金経理するなど自社の都合で損金算入時期を調整することはご法度とされている。

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