<タックスニュース>

相続税1億2千万円を脱税  懲役1年6カ月、罰金3千万円求刑

相続税約1億2千万円を脱税したとして、相続税法違反の罪に問われている福島県福島市の被告(75)の初公判がこのほど、福島地裁で開かれ、被告は起訴内容を認めた。
 検察側は、「被告は相続税を免れようと考え、現金などの存在を税理士に伝えず虚偽の相続税申告書を作成させた」と指摘。脱税額は多額で「租税制度を軽視する態度は顕著」とし、懲役1年6カ月と罰金3千万円を求刑して即日結審した。
 弁護側は、「被告は修正申告を行い重加算税分も支払っている」などとして、執行猶予付きの判決を求めた。

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<タックスワンポイント>

非常勤の役員報酬の相場はどれくらい?  知識経験、勤務状況他の役員との差も考慮

本業とは別に不動産管理法人などを持っている経営者は、家族を法人の非常勤役員にして報酬を払うことがある。その際、報酬額が過大と判断されてしまうと否認される恐れがある。
 1979年に下された最高裁判決では、役員報酬が損金に算入できる範囲を超えるほど高額だったとの税務署の判断を認めている。この事例では、男性が設立した会社の取締役に長女を据え、役員報酬として年額93万円を支払っていたが、課税庁がそのうち60万円を超える約3分の1の部分について否認した。長女は取締役就任当時18歳で大学在学中であり、学業の余暇を利用して経理関係の帳簿の整理、自動車の運転など実質的な業務にも携わっていた。
 このケースで裁判所は「①長女の知識、経験、②取締役として就任間もない事実、③勤務状況、職務内容、④会社経営に参画する程度、⑤他の取締役、使用人に対する報酬、給与の額――などを併せて考えると、長女に対して支払われるべき報酬の客観的相当額は、会社設立以来の非常勤取締役だった他の役員に対する報酬額(年額60万円)以上にはならない」と判示した。この額をそのまま参考にはできないが、非常勤役員の報酬額の相場を考える上で押さえるべきポイントとなりそうだ。

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