<タックスニュース>

コロナショックが直撃  リーマン以来の税収大幅減

新型コロナウイルスの感染拡大で、政府による財政再建がさらに難航しそうだ。2020年度予算の一般会計税収が55兆円程度と、想定を8兆円も下回る見通しになった。リーマンショックに見舞われた直後の09年度以来の大幅な減で、20年度に新たに発生する赤字国債は初めて100兆円を上回ることが確実な情勢だ。今後の財政をどう展望するのか、菅義偉首相は国民向けに丁寧な説明を求められることになる。
もともと政府は20年度の一般会計税収について、過去最高を更新する63.5兆円と想定していた。しかし新型コロナの直撃を受け、企業の業績悪化で法人税が大きく落ち込むほか、給与総額のダウンにより所得税も減少する可能性が高まった。
政府によると、19年度の税収実績は58.4兆円。20年度は前年度からのマイナス幅が約3兆円となり、5.6兆円減った09年度以来の下落になる。また19年度の税収も18年度から約2兆円減っており、大幅な税収減は2年連続だ。
政府は予算を編成する際、税収の見積もりを基にして予算の大枠や国債の発行額を決める。税収が想定より減った分は、国債発行額を増やして穴埋めする仕組みだ。政府は12月8日に40兆円の財政支出を伴う追加経済対策を閣議決定したばかりで、国債の追加発行が大きく膨らむ事態が現実味を帯びてきた。20年度の新規国債発行額は、2度の補正予算により当初比で57.6兆円増の90.2兆円になる見通しだ。税収減と追加経済対策の策定で、国債発行額は100兆円を超え、過去最大だった09年度(約52兆円)の2倍程度になる可能性がある。
日本の政府債務は20年に国内総生産(GDP)比で266%に達し、米国(131%)やイタリア(162%)と比べて突出している。日銀が国債を大量購入して金融緩和を継続していることなどが理由だ。

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<タックスワンポイント>

ISO9001の取得費用は一括損金に  認定離れも加速、取得は慎重に

品質マネジメントの国際標準として、中小企業でも取得例が増えているISO9000シリーズ。自社組織の精査のために取得するケースもあるが、対外的な信用を得る目的が大きい。公共工事の入札にあたっての条件になっていることもあることから、業種によっては環境マネジメント規格である14001と並び、取得する企業も少なくない。
ISO9001の取得にあたっては、これが法的な権利ではなく工業所有権に該当しないことのほか、譲渡もできず営業権にも該当しないことなどの理由から、審査登録金(申込料、基本設計料、予備審査料、登録料など)や登録後料金(サーベイランス料、更新審査料、登録維持料など)などの費用は全て損金算入できる。
なお、ISOは将来の広告宣伝の効果のためではなく、現在の取引関係を維持するためのものであるため繰延資産とすることが適当でないといった理由から、取得費用は基本的に支出した年度に損金算入する。
日本適合性認定協会によると今年12月時点でISO9001の認定企業は全国2万6890にのぼり、一般企業のほか、個人医院や協同組合まで幅広い組織が登録している。猫も杓子もISOといった様相だが、実際には「ISO離れ」も進んでいる。理由は「メリットが見えない」というものだ。公共工事の入札条件になっているなどでなければ、取得にあたっては体面だけでなく手間との費用対効果もしっかり考えたい。

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