<タックスニュース>

政府 財務省が概要、本格的な審議スタート  税制改正関連法案を国会に提出

政府は2月4日、「所得税法等の一部を改正する法律案」を国会に提出した。これにより2025年度税制改正関連法案の本格的な国会審議がスタートする。
 財務省がまとめた同法案の概要では「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げ並びに大学生年代の子等に係る新たな控除の創設を行う」「成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すために、中小企業経営強化税制を拡充する」「国際環境の変化等に対応するため、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置、グローバル・ミニマム課税の法制化、外国人旅行者向け免税制度の見直し等を行う」「これらにより、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応する」としている。
 個人所得課税では、基礎控除額を最大58万円とし、現状よりも10万円引き上げる。給与所得控除の最低保障額も10万円引き上げ65万円とする。19歳から22歳までの大学生年代の給与収入が150万円以下の場合、親が63万円の所得控除を受けられる特別控除を創設し、給与収入が150万円を超えた場合の控除額は段階的に減額して適用する(25年末の年末調整から適用)。
 防衛増税については、法人税に関し26年4月1日以後に開始する事業年度の法人税額から500万円を控除した額を課税標準とする税率4%の新たな付加税を創設する。
 相続に係る所有権の移転登記については、登録免許税の免税措置を2年間延長する。

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<タックスワンポイント>

損害賠償金分割払いは支払年の損金に  債務確定時の原則に従わず

業務上のミスによって、損害賠償金を支払うことになってしまった。ただ賠償額が大きすぎるため、支払いは数年間に分けて払うことで先方と同意したとする。
 通常、業務の遂行に関連する損害賠償金は、その債務が確定したときの必要経費に算入される。いわゆる「債務確定主義」といわれる会計上の原則だ。
 しかし分割で支払う損害賠償金は、それぞれの額を実際に支払った年の必要経費に算入しなければいけない。分割払いは支払期日が到来してはじめて具体的に債務が確定するという解釈によるものだ。
 たとえ最終的な賠償金の総額について当事者間で合意があったとしても、総額を一括して未払金に計上することは認められず、その支払期日が到来する都度、その支払期日の到来した金額を必要経費に算入する。2つのやり方から好きなほうを選べるわけではないことに気をつけたい。
 損害賠償金のうち、保険金などで補てんされる金額があるときは、その金額を差し引いた金額が必要経費になる。またたとえ業務に関連していても、事故原因に故意・重大な過失があれば必要経費としては認められない。無免許運転、スピード違反、酒気帯び運転、信号無視などによる事故は、特別の事情がない限り重大な過失があったとされる。
 事故を起こしたのが従業員であった場合、その責任に応じて損害賠償金の一部を本人に負担してもらうのは法律上は可能だ。ただ事業主は社員の労働によって利益を得ている以上、社員のミスもある程度カバーすべきという考え方があるため、よほど大きな過失がない限りは請求は認められない傾向にある。

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