<タックスニュース>

財務省「国民への財政報告」  所得税の減収見込額6210億円

 財務省はこのほど、2025年度の「国民への財政報告」を公表した。財政法に基づくもの。同法第46条は、「内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度の歳入歳出決算並びに公債、借入金及び国有財産の現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物、講演その他適当な方法で国民に報告しなければならない」と定める。
 このうち25年度予算の「税制改正」については、①物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げ並びに大学生年代の子等に係る新たな控除の創設を行う、②老後に向けた資産形成を促進する観点から、確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo)の拠出限度額等を引上げる、③成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すために、中小企業経営強化税制を拡充する、④国際環境の変化等に対応するため、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置、グローバル・ミニマム課税の法制化、外国人旅行者向け免税制度の見直し等を行う――ことを報告。これらにより、「『賃上げと投資が牽引する成長型経済』への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応する」としている。
 また、今国会では予算案が修正されたうえで可決。予算成立した経緯を踏まえ、「衆議院における修正により、低所得者層の税負担に配慮する観点や、物価上昇に賃金上昇が追いつていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて税負担を軽減する観点から、所得税の基礎控除の特例を創設する」ことを報告。これによる所得税の減収見込額は6210億円であるとしている。

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<タックスワンポイント>

損金算入の時期はさまざま  弁護士報酬 短期前払費用は適用不可

 会社経営に法的トラブルはつきもの。訴訟社会に突入した昨今ではトラブルの対処の仕方一つで命取りにもなりかねないため、中小企業の間でも弁護士との顧問契約を検討する動きが目立ってきている。また、特許権などの重要性が広く認知され、ビジネス展開も増える中で、こうした知的財産権などの侵害に対する防衛手段として弁護士とのパートナー契約を締結する企業も増えている。
 弁護士に対して支払った費用については、その具体的な内容によって税務上の取り扱いが微妙に異なるので注意が必要だ。例えば、月々の顧問料については、期間の経過に応じて損金に算入する。顧問料は特定のサービスを受けるために支払った対価なので、1年分まとめて支払っても短期前払費用の特例を基本的に適用することはできない。
 また、訴訟の着手金については、例えば特許権侵害による損害賠償請求をするために契約した弁護士に対する訴訟の着手金であれば、支出日の属する事業年度で損金に算入することになる。着手金は訴訟の勝ち負けにかかわらず支払われるものであり、一種の「防衛費用」という性格も持ち合わせているためだ。
 そして、訴訟に勝ったときに支払う成功報酬金については、①債務が成立している、②給付すべき原因となる事実が発生している、③金額を具体的に算定できる――という3つの要件を満たせば、その事業年度の損金となる。

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