Vol.0764
<タックスニュース>
オートレースで3億6500万円的中 申告せず脱税の被告、起訴事実認める
名古屋地裁で5月8日、オートレースの車券が的中した際の払戻金を申告せずに脱税したとして、所得税法違反の罪に問われている岐阜県の無職男性51歳の初公判が開かれ、被告は起訴事実を認めた。
被告は2023年5月、購入したオートレースの車券が的中し、約3億6500万円の払戻金を得たとされている。検察側は冒頭陳述で「被告は税理士に相談して申告が必要だと説明されたが、納税額が多額になることを惜しんで申告しなかった」と指摘。同年分の所得税約7700万円を免れたとしている。
名古屋国税局の調査により発覚したもので、同局が3月6日までに名古屋地検に告発していた。被告が購入した車券は「モトロトBIG」と呼ばれるもの。払戻金を一時所得として申告せずに約1億8200万円の所得を隠していた。脱税で得た金は不動産の購入資金や遊興費に充てていたものとみられている。
オートレースや競輪、競馬、ボートレースなど公営競技の払戻金は、一時所得として確定申告が必要になるケースがある。払戻金による一時所得の金額は①払戻金の年間受取額を計算②払戻金を得た投票券(的中券)への年間投票額を計算③「①-②-50万円」の金額を計算④「③÷2」の金額を計算――の順で計算して求める。不的中投票券、いわゆる“ハズレ券”を購入した金額は「年間投票額」に含まれないため“経費”として差し引くことはできず、“当たり券”の購入額だけが計算の対象となる。国税庁ではホームページで「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」を公開して注意を呼びかけている。
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<タックスワンポイント>
税の優遇で逆に税金が高くなる!? 円満夫婦が使えるおしどり贈与特例
結婚して20年以上の夫婦による住宅や住宅資金の贈与は、2千万円までを課税対象から除外できる。この特例は、オスとメスが常に一緒に過ごすという「おしどり」の名前を使って、“おしどり贈与”とも呼ばれる。
ただし制度を利用することで、かえって支出が増えることもある。住宅の贈与の際には、不動産取得税や登録免許税、専門家への報酬など、合計すると何十万円もの支払いが生じるからだ。例えば住宅の贈与を受けた人は名義変更の際に土地や住宅の固定資産税評価額の3%分の「不動産取得税」を支払わなければならない。さらに所有権の移転登記にかかる「登録免許税」でも、贈与で住宅を受け取れば不動産の価格の2%だが、相続なら0.4%に税率が下がる。
税金以外にも、贈与の際に税務申告や登記手続きの代理を税理士や司法書士に依頼し、その後に相続が発生した際にも再び専門家に依頼するとなると、贈与をせずに相続時だけに手続きの代理を依頼したひとと比べて支払う報酬総額が割高になりやすい。
そもそもおしどり贈与の目的は、生前に無税で贈与することで将来の相続税の負担を減らす点にあるが、夫婦間の相続では配偶者控除により1億6千万円までの相続財産には相続税が課税されないため、生前贈与をしなくても相続税がゼロとなる可能性は十分あり得る。おしどり贈与を使って本当に税金や報酬を合わせた支出を節約することができるのか、しっかりシミュレーションしてから利用を考えたい。
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