Vol.0381
<タックスニュース>
まさか!「パナマ文書」に私の名前!? 知らない間にペーパー会社代表に
多くの人が「タックスヘイブンとは無縁」と思っているだろう。だが、それは大きな間違いのようだ。
機密文書が大量に流出した「パナマ文書」のなかで、いつの間にか実名不明のペーパーカンパニーの代表に就いているという被害が発生していることが、一部報道で分かったからだ。
人気漫画『キャンディ・キャンディ』で知られる漫画家いがらしゆみこさんの名前が11月27日、カリブ海の租税回避地の会社役員としてパナマ文書に記されていたと報じられた。いがらしさんの名前があったのは、英領バージン諸島の会社の登記関連資料だという。1998年12月から2002年3月まで、役員を務めたことになっていた。住所がいがらしさんと一致し、後任の役員に娘の名があったという。資料には、いがらしさんと娘の署名が同じ筆跡による漢字で記されていたが、いがらしさん母娘のものとは別の筆跡だという。
またパナマ文書には音楽家の小室哲哉さんの名前もあったと報じられている。小室さんは01~02年に英領バージン諸島の法人役員として登記されていた。
本人の知らない間に名前が使われていたのは有名人だけではない。NHKの報道によると、日本の一般男女3人もカリブ海の英領アンギラのペーパーカンパニーの代表に就けられていた。この3人は、知らない間に個人情報を香港の仲介業者に流され、パナマ文書を流出させた法律事務所「モサック・フォンセカ」の手に渡り、勝手に実体不明の会社の代表になっていた。個人情報は何者かに盗まれたという。
恐ろしいのは、どのような会社の代表に就けられているのかわからない点だ。この3人が代表になっていたペーパーカンパニーは日本の出会い系サイトを運営していることになっていた。もし違法行為が明るみになれば捜査機関が容疑をかけられる可能性も否定できない。被害者の3人の中には、出会い系サイトのホームページ上に運営責任者として名前がバッチリ記載されてしまった人もいるというから驚きだ。
さらに、海外の会社に登記されると、簡単に削除することができない点も見逃せない。削除するには現地まで赴いて弁護士に依頼して交渉しなければならないからだ。
知らない間に海外でペーパー会社の代表になっているかもしれない。考えるだけでも身の毛もよだつ話だ。
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<タックスワンポイント>
後継者に自社株を確保させたい… 生前贈与分を遺留分財産から外す
経営者が死亡して相続が発生したときに、後継者以外の相続人が自社株を受け取り、後継者が経営上の意思決定をするために必要な株式数を受け継げないことがある。相続前の対策として後継者が経営者から生前贈与を受けていたとしても、その贈与分は相続人の最低限の相続分として保障された「遺留分」の対象財産になるため、ほかの相続人から遺留分の取り戻し請求を受けかねない。
こうした自社株分散リスクを防ぐため、3年以上事業を継続している中小企業の後継者は、生前贈与された自社株を遺留分の対象財産から外す制度を利用できる。
遺留分は、配偶者、子、父母などそれぞれの立場ごとに割合が決められている。この対象財産には、被相続人の死亡時の財産だけでなく、相続開始時点の1年以内に贈与された財産も含まれる。また、自社株は一般的に贈与の時期にかかわらず対象財産になり、贈与されていた後継者は多くの財産を受け取ったと法律上で判断される。
しかし、経営者が後継者に自社株を贈与したときに、自社株を遺留分から外す合意を「推定相続人」全員で取り交わし、経済産業大臣と家庭裁判所に届け出ると、相続人はその分の遺留分請求ができなくなる。この制度は、保有株式と贈与株式を合わせて議決権の半分以上確保できる贈与をしたときに利用できる。
なお、贈与を受けた自社株の価値が相続時までに上昇して財産評価額が高まると、その分だけ財産を多く受け取ったことになり、遺留分をほかの相続人から請求されるリスクが高まる。このような予想外の財産評価上昇リスクを抑えるため、遺留分対象財産である自社株の評価額を贈与時の価格で固定できる制度もある。
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