<タックスニュース>

佐川国税庁長官  異例の”就任会見なし”

 国税庁長官に着任した佐川宣寿(のぶひさ)氏が慣例となっている就任会見をしないことを決めたことが波紋を呼んでいる。
 佐川氏は学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、財務省理財局長として国会で「書類は廃棄した」と事実確認を拒み続けたと野党から批判されていた。記者会見をすれば国有地売却問題を再度追及されかねないと判断したと見られる。しかし、説明責任にあまりにも後ろ向きな姿勢は、公正な税の徴収という大仕事を担う国税庁への信用にもかかわりかねない。
 佐川氏は7月5日付で国税庁長官に就任。新長官が就任した場合、過去十数年間は着任から1カ月前後で就任会見に臨んできた。報道各社の担当記者で構成する「国税庁記者クラブ」は今回、国税庁に繰り返し早期の就任会見開催を要請してきたという。しかし約1カ月後の8月8日、国税庁は記者会見をしない方針を決めたと発表した。国税庁は同日、会見に代わって、佐川氏の談話を公表。「納税者サービスを充実させ、皆様が自発的に申告や納税を行うための環境を整えていくことが重要」などとの記載があった。記者会見を開催しない具体的な理由などの説明はなく、国税庁は「組織として諸般の事情で判断した」としただけ。諸般の事情に国有地売却問題が含まれるかどうかなども明らかではないままだ。
 この対応には国税庁関係者もあきれている。「会見をしようがしまいが国有地売却問題で渦中にあった事実は変わらない。ならば堂々と会見すべき」といった考えから「こんな対応では税務調査で相手に不備があった場合、『財務省だって書類は保存してないだろう』と詰められることも出てくるだろう」と実際の仕事への影響を心配する声も。
 佐川氏については強い姿勢で国有地売却問題の国会論戦を切り抜けた、との評も根強い。「本当に切り抜ける力があるなら記者会見だって問題ないだろうに」との声も出ている。


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<タックスワンポイント>

教育費用を着実に準備する学資保険  利率高く税金面で優遇

 幼稚園から大学卒業までにかかる1人当たりの教育費総額は、文部科学省の「子供の学習費用」(平成26年度)を基に試算すると、すべてが公立なら800万円、すべて私立なら2227万円となる。この費用を準備する方法として、学資保険の活用を検討してみたい。学資保険は、毎月決まった額の保険料を払い続ければ、祝い金や満期学資金として、契約時に決めた子どもの年齢に合わせた給付金が受け取れるものだ。
 メリットはさまざまあり、保険金を積み立ての形で強制的に払い続けることで教育資金が着実に貯蓄できることに加え、定期預金より高い利率も挙げられる。契約者である親が死亡したり、病気で収入がストップしたりすると、その後の保険料は免除され、満期金も予定通り受け取れる。さらに税金面でも優遇されている。一つは、満期金は所得税の対象となるが、受け取った保険金額から払い込んだ保険料を差し引いたとき、50万円以上増えなければ無税となる。もう一つは、学資保険は生命保険の一種なので、支払った保険料は税額控除の対象となる。
 一方、デメリットとしては、柔軟性に欠けることがある。幼稚園から大学まで通して18年間で契約すると、その間は利回りが固定されるので、途中インフレとなれば不利になる。長期的に資金が拘束され、換金性が低い。そのため、途中解約すると元本割れする可能性が高い。


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