<タックスニュース>

税制改正大綱で調整難航  未婚ひとり親の対立再燃も

 12月14日にまとまった2019年度の与党税制改正大綱で、最後に自民、公明両党の間で調整が長引いたのが、未婚のひとり親への税優遇措置を行うかどうかだった。今回は折り合いを見せたものの、対立が再燃する可能性が高い。
 問題の前提には、もともと婚姻歴があり、離婚や死別によるひとり親については税制上「寡婦(寡夫)」と位置づけられ、所得税や住民税からの控除があるのに加え、住民税が非課税になる所得水準も通常の世帯よりも緩い現状がある。
 公明党は、未婚のひとり親も数が増えており、生活が苦しいケースも少なくないとして、既婚のひとり親同様にこうした税優遇が受けられるよう求めていた。だが自民党側では「婚姻に基づく家族観が損なわれる」との反対論が根強く、長年意見が一致しなかった。
 19年度税制改正大綱では、自民の宮沢洋一、公明の西田実仁の両税制調査会長が水面下で、住民税非課税の要件緩和で折り合うことで調整をしていた。ところが公明のベテラン税調メンバーが「控除も求めるべきだ」と強硬論を展開。これに自民側も「突然、主張が変わった」と硬化し、主張は平行線をたどり、大綱の取りまとめも一時が危ぶまれた。しかし結局、住民税非課税の要件緩和と児童扶養手当の増額、さらに20年度税制改正大綱で控除のあり方についても見直す方針を明記することで両党は合意した。
 自民には来年の参院選を見据えて公明の選挙協力を得たい思惑があり、公明内でも「軽減税率などに比べれば規模が小さい話で、けんかのメリットがよく分からない」と一部で厭戦論も出ていたことから、双方とも全面対決が避けたい考えが一致した末の妥結だった。
 ただ、19年末の税制改正では再び議論になることは必至で、根底には「哲学の違い」(与党税調幹部)が横たわるだけに、再び両党の対立が表面化する可能性がある。


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<タックスワンポイント>

研究開発税制が拡充  有効利用で会社の成長を促進

 2019年度税制改正大綱では、民間の研究開発を活性化させるため新たな税優遇策が盛り込まれた。新しいビジネスモデルで急成長を目指すベンチャー企業について、法人税額の控除枠を現在から1・6倍に引き上げる見通しで、連携する企業も優遇する。企業にとって、控除額が増えれば研究開発により多くの資金を投じることができる。
 研究開発に関する税制は現在、企業が法人税額から差し引くことができる控除額の上限を法人税額全体の25%と定めている。これを拡充し、設立10年以内の黒字企業で独自性の高い技術開発を進めるベンチャー企業を対象に、控除の上限を40%まで引き上げる。設立間もない企業は研究開発費とは別に、設立初期の赤字でたまった「繰越欠損金」を法人税から差し引くこともできる。
 ベンチャー企業との連携相手についても、負担を軽減し、共同研究を後押しする。共同研究や委託研究にかかった費用は、すでに通常の控除とは別に一定の割合を法人税額から控除されている。大企業が中小企業に研究を委託したり共同研究をしたりすれば、その費用の20%を法人税額から控除できる仕組みだが、今回の税制改正では相手が研究開発型の企業であれば、5%上乗せする。

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