Vol.0644
<タックスニュース>
競馬で荒稼ぎの自営業男性 1億円を無申告
熊本国税局は、競馬で得た所得約1億円を申告せずに約3200万円を脱税していたとして、熊本市の自営業者の男性を所得税法違反の疑いで熊本地検に告発したことを発表した。
当局によると、男性は馬券の自動購入ソフトを活用してインターネット経由で馬券を購入し利益を得ていたが、2018年までの3年間の所得を申告していなかった。男性は不正に得た資金を外国為替証拠金取引(FX取引)に使用していたという。FX取引の所得については正しく申告していた。
馬券のネット購入システムの普及や人気ソーシャルゲームによる広告宣伝効果により競馬人気が沸騰するなか、競馬がらみの税務調査で高額な申告漏れが指摘されるケースが目立っている。
競馬予想のコラム連載を持つなど筋金入りのファンとして知られるお笑い芸人の「じゃい」さんは今年6月、ハズレ馬券の購入費用を所得から差し引いていたことを理由に多額の追徴課税を課されたことをユーチューブ上で発表した。また、5月には競馬の勝ち馬を予想するソフトを販売して得た所得4100万円を隠していた東京都内の業者が東京地検に告発された。
日本中央競馬会(JRA)によると、2021年度の馬券購入金額は3兆911億円に上り、10年連続で前年度を上回った。クレカ購入のできる「JRAダイレクト」が導入された翌年から馬券売上が上昇に転じた。近年はコロナ禍で人気を博したソーシャルゲーム「ウマ娘」やタレントを起用した広告宣伝戦略が奏功し、オグリキャップや武豊騎手による平成の競馬ブームで記録した売上ピーク4兆円に迫りつつある。
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<タックスワンポイント>
創業記念品は商品券なら給与扱い 旅行券と商品券の微妙な違い
創業10周年などの区切りを記念して従業員に記念品を支給する時には、その価値と内容に気を付けたい。物によっては、せっかくの記念品が「給与」と認定されて、従業員に余分な所得税が課されてしまうからだ。
会社が創業10周年などのタイミングで記念品を支給したり、長く勤続した社員に対してプレゼントを贈呈したりすることは広く一般で行われているため、一定の要件を満たせば給与とみなされず所得税が課されない。その要件とは、(1)支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいもので、かつ創業記念品なら価額が1万円以下のものであること、(2)一定期間ごとに支給する記念品については、おおむね5年以上の間隔を空けて支給すること、(3)永年勤続者に対する記念品については、勤続年数がおおむね10年以上の人間に支給すること――となっている。
このうち特に気を付けたいのは(1)の「記念品としてふさわしいもの」だろう。よくある社名入りのペンや置時計などは、もちろん非課税となる。永年勤続者へのプレゼントであれば、よほど高額でなければ旅行券や観劇代の負担なども問題ない。一方で、これが商品券となると、全額が給与と取り扱われてしまうので注意が必要だ。旅行券がOKで商品券がNGとはなかなか微妙な違いだが、おそらく永年勤続者に対して旅行をプレゼントすることは広く行われているため、換金性があるうちでも例外として非課税措置を認められているのだと思われる。もちろん旅行に実際に行ったことを証明するため、旅費の領収書などはしっかり保管しておくことを忘れないようにしたい。
もう一つ注意したいのが、創業記念品であれ永年勤続者へのプレゼントであれ、複数ある記念品のなかから本人が自由に選べる形式だと、全額が給与として課税されてしまうことだ。せっかくの記念品に税金が課されて社員との間にしこりを残さないためにも、税務面での要件を満たして気持ちよく振る舞いたいところだ。
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