<タックスニュース>

21年度ふるさと納税総額  過去最高の8302億円

ふるさと納税の2021年度の寄付総額が8302億円に上り、過去最高となった。総務省が7月29日に発表した。制度が始まった2008年度の100倍超となり、寄付件数も4447万3000件で過去最高を記録した。
納税額が最も多かったのは、北海道紋別市で152億9700万円。宮崎県都城市が146億1600万円、北海道根室市が146億500万円と続いた。
制度の活用が堅調に伸びている一方、現行の制度を巡るトラブルや批判もある。
翌年度の住民税控除額は、横浜市が230億円で最多。名古屋市が143億円、大阪市が123億円と続き、都市部の税収減が目立った。自治体関係者からは減収を懸念する声も出ている。東京都荒川区は区のホームページに「現在の制度は本来趣旨から逸脱している」とする文書を掲載し、住民税の流出によって公共サービスの持続に支障をきたす可能性があると指摘している。都内23区の区長でつくる特別区長会でも、総務大臣へ制度を改正するよう要望をしている。
また、制度の導入以降、返礼品競争が激しくなっていたことを受け、総務省は2019年6月、自治体からの返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に制限し、従わない自治体を税優遇の対象から外す新制度に移行。これによって一定程度、問題は沈静化されたが、今年に入ってからも宮崎県都農町と兵庫県洲本市が基準違反で除外された。さらに6月には、返礼品の代わりに現金を還元する仲介事業者が問題となり、自治体が事業者を利用するのを禁止とした。
金子恭之総務大臣はこうした自治体からの批判について7月29日の記者会見で問われ、「ふるさと納税が地域経済の活性化につながっていることも事実。現行制度のもとで今後とも適正に運用されるよう取り組んでいく」と述べている。

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<タックスワンポイント>

路線価の発表は相続税にどう影響する?  路線価イコール評価額ではない

毎年7月になると相続税路線価が公表される。相続税路線価はその名前の通り、一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するものだ。国土交通省が毎年3月に発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用される。相続税路線価の上昇は、土地所有者の税負担増を意味しているとも言える。
もっとも相続税路線価は相続税の税額計算に使われるが、路線価がそのまま価額となるわけではない。同じ道路沿いにある同じ面積の土地でも、その形状や利便性は場所によって異なるからだ。具体的に路線価から評価額を計算するときには、「奥行」と「間口」に応じて補正率をかけ合わせることになる。奥行が極端に短かったり、間口が狭すぎたりするケースでは土地の使い勝手が悪いとして評価額が減額される。他にも土地が台形であるケースや傾斜地であるケースでも、減額補正がされることになる。逆にプラスの補正がかかるのは、角地や2つの道路に挟まれている土地で、これらの土地は利便性が高いと判断され、評価額も高くなる。ただしこうした補正を適用できるか否かは評価者によって判断の分かれるところで、国税当局と納税者の間でも争いになりやすいポイントだ。減額されると思い込んで相続対策を怠ると痛い目をみる可能性もあるので気を付けたい。
路線価が表すのは、あくまで土地の値段であり、その上に何が建っているかはまったく関係ない。この仕組みを利用した相続税対策の一つに、いわゆる「タワマン節税」がある。マンションを評価する際にも相続税路線価が使われるが、そこに階層の違いはなく、評価額は1階でも30階でも同一となる。しかし実際には眺望がよい高層階ほど高い値段が付く。そこで相続前に高価格の高層階を購入しておき、1階と同負担の相続税を支払った上で売却して差額を得るという方法だ。もっともタワマン節税に対しては国税当局が厳しく目を光らせていて、あまりにも実売価格と評価額に大きな開きがあるケースに対して、「著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という個別規定、いわゆる「総則6項」を使って厳しく取り締まっている。タワマン節税を考えている人は、こうした否認リスクまで考慮した上で、活用を検討すべきだろう。

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