<タックスニュース>

法人所得が過去最高の79兆円  税額はピーク時の75%

2021事務年度(21年7月~22年6月)の法人税の申告所得は79兆円を超え、過去最高を記録した。コロナ禍から2年ぶりに持ち直した前年からさらに伸び、落ち込んでいた旅館・飲食などの業種も増加に転じた。全国的に新型コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、コロナ禍からの持ち直しが数字にも表れたかたちだ。
国税庁が10月31日に公表した最新の法人税申告事績によれば、21事務年度の法人税は申告件数が307万件で、申告所得金額は79兆4790億円だった。前年度から約9兆3千億円増加し、過去最高額となった。申告税額も13兆9232億円と伸びたものの、税額は過去最高を記録したバブル期の1989事務年度の75%程度にとどまっている。89年には本則40%だった法人税率が、第二次安倍政権下の法人減税によって23%台まで下がっていることが理由だ。
黒字申告1件当たりの所得金額は7273万2千円で、赤字申告1件当たりの欠損金額は853万9千円だった。申告があった法人のうち、黒字割合は35.7%で、前年比で落ち込んでいた前年から立ち直っている。

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<タックスワンポイント>

小規模企業共済を法人化で解約すると受け取れる額は?  解約手当金より有利な準共済金をゲット

小規模企業共済は国が作った退職金制度で、毎月掛け金を払い込み、事業をやめた時などに共済金を受け取れる制度だ。小規模事業者を対象とした共済であるため、加入できる事業の規模は一定以下に限られ、建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業であれば従業員20人以下、卸売業・小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業除く)であれば5人以下の事業者が対象となっている。
何かがあった時に受け取れるお金は、その理由によって「共済金A」、「共済金B」、「準共済金」、「解約手当金」に分かれ、共済金Aが最も多く、解約手当金が最も少ない。例えば個人事業主であれば、廃業や契約者死亡が「共済金A」に当たり、65歳以上で180カ月以上掛け金を払い込んだ人がもらえる老齢給付が「共済金B」に当たる。
では、ある事業者が同共済に個人事業者として加入したが、その後に業績が順調に伸びたため法人化したケースはどうなるか。法人化によって共済の加入条件を満たせなくなったので解約せざるを得ないが、その時受け取れるのは最も少ない「解約手当金」なのか。
こうしたケースでは、契約者が受け取れるのは「解約手当金」ではなく「準共済金」だ。法人成りした結果として加入要件を満たせなくなったのはやむを得ないため、制度上も救済措置が設けられているわけだ。逆に法人成りをした場合でも、加入資格をなくしていなければ、解約時には最も金額の低い「解約手当金」の対象になってしまう。そのほか、任意解約や掛金の滞納などによって解約に至った場合も「解約手当金」に該当する。
準共済金以上では、給付される金額は基本的に掛金を下回ることはないが、解約手当金は加入期間が20年未満だと元本割れしてしまうので気を付けたい。また掛金の払い込みから1年経たずに解約をすると、そもそも手当金を受け取れない。
小規模企業共済の掛金は全額を所得控除でき、共済金も受け取り方によって「退職所得」や「公的年金等の雑所得」として税優遇を受けられるので、対象に含まれているならぜひ加入を検討したい。

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