Vol.0656
<タックスニュース>
財政審が提言 ワクチン接種の有料化
財務省は、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、社会保障分野について、新型コロナウイルスのワクチン接種費用を全額国費で負担している現状を「特例的な措置は廃止すべきだ」とし、負担額の見直しを提言した。病床確保の支援などを含め、コロナ禍の医療提供体制への国費支出が主な事業だけで少なくとも約17兆円に達し、このままでは財政の悪化が加速するとの懸念が背景にある。
現行の接種料金は約9600円だが、特例として無料で受けられる。財務省によると、接種回数は、2021年度は2億5700万回で、事業規模は2兆3000億円余りに上った。
財務省は社会がコロナと共存する「ウィズコロナ」を目指し、経済再生との両立を掲げる中、ワクチン接種も正常化に向けて転換を図っていくことが必要との見解を示した。季節性インフルエンザなど他の感染症と同様に、接種希望者が費用の一部を負担する「定期接種」に移行すべきだと主張した。
国が買い取って無料で配布してきた抗原検査キットを、民間企業を主体とする供給体制に切り替えるよう指摘。約5000億円の基金で支援してきた国内企業のワクチン開発が進んでいないことにも言及し「各企業の研究開発能力を十分チェックすべきだ」と強調した。
また、社会保障分野では、多くの高齢者が1割負担となっている介護サービスの利用料を原則2割に引き上げたり、2割もしくは3割負担の対象者を拡大したりするべきと主張した。高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進む今後の制度の持続可能性を懸念する声が相次ぎ、介護保険の引き上げを求めた。
増田寛也会長代理(日本郵政社長)は会合後の会見で、後期高齢者医療制度の自己負担割合の基準を念頭に、「介護も医療と同様の方向へ持っていくべきではないか」と指摘。物価高騰の状況を踏まえ、「(利用者負担の引き上げとあわせて)経過措置を働かせることもしっかり考えていく必要がある」との見解を表明した。
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<タックスワンポイント>
そんなのアリ? 重加算税の「抜け穴」 対象はあくまで申告書のみ
申告漏れや無申告に対する罰則のなかで、最も重いのが「重加算税」だ。単なる計算ミスなどではなく、二重帳簿の作成や帳簿書類の破棄、隠匿、改ざんなど税逃れの意図に基づく「仮装・隠ぺい」があったと認定されると、重加算税が課される。その税率は初犯でも35~40%、重加算税の前科があれば最大50%という非常に厳しいものとなっている。
だが最近、思いもよらない方法でこの重加算税を免れるという事例が報告された。今年10月に開催された政府税制調査会の会合では、「税に対する公平感を大きく損なうような行為」の例として、重加算税に関するケースが報告されている。
それによれば、ある法人が法人税の確定申告書を提出後、外注費の計上漏れがあったとして更正の請求を行い、それに基づく還付金を受け取った。だが国税当局がその後調べたところ、更正の請求時に添付されていた外注費の領収書が架空であったことが判明したという。添付された領収書には印紙も貼付され、取引先の社印を偽造して使用するなど非常に巧妙な細工が施されていたらしい。
これらの行為はれっきとした「仮装・隠ぺい」に当たるが、この法人に重加算税は適用されなかった。その理由は重加算税の賦課要件を定めた国税通則法にある。
通則法65条では、納税者が税額計算の基礎となる事実について仮装・隠ぺいを行い、「その隠ぺいし、または仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときには(中略)重加算税を課する」と定めている。どういうことかというと、重加算税が課されるのは、あくまで仮装・隠ぺいが行われた「申告書」に限られるということだ。
先ほどの事例でいえば、法人が提出した申告書自体には問題がなかった。その後の更正の請求において悪質な仮装を行ったのだが、税法上、更正の請求は「納税申告書」に該当しない。そのため当局としては重加算税を課せなかったわけだ。
まさにルールの抜け穴を突いたやり口というわけで、この報告を受けた政府税調では、「脱税者への懲罰を強化すべき」、「現行の重加算税とに代わる新たな措置を」など、厳罰化や追徴課税の強化など措置の見直しを求める意見が相次いだという。
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