<タックスニュース>

マイナンバーのトラブル続出!  揺らぐ制度の信頼性

政府肝いりの施策であるマイナンバー制度でトラブルが続出している。かねてより情報管理の危うさが指摘されていた同制度で個人情報が漏えいする不祥事が続いたことで、制度の信頼性そのものを揺るがす事態となっており、岸田首相も「重く受け止めている」と再発防止に政府一丸で取り組む姿勢を強調した。
一連のトラブルは、国内IT大手の富士通の子会社である「富士通Japan」がシステムを提供する自治体で3月以降に多く発生している。マイナカードを使ってコンビニで証明書を交付するサービスを利用したところ、他人の住民票や戸籍謄本が誤発行されたり、印鑑登録書を発行したら登録抹消済みの印鑑証明を誤交付したりするなどのトラブルが11自治体で発生した。5月24日には富士通の時田隆仁社長が、トラブルの原因は個々のケースにより異なるとした上で、「お客様をはじめ関係者の皆様に多大なるご心配ご迷惑をおかけしていることについて改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪した。富士通は最長で6月4日までシステムを停止し、一斉点検を行うという。
さらに同社が関与した案件以外でも、災害時に給付金などをすばやく受け取れる公金受取口座のシステムで不祥事が判明している。マイナンバーに銀行口座を紐付ける際に、他人のマイナンバーに自分の口座を登録してしまった事例が7自治体で12件発生した。原因は手続き担当者が、先に手続きした人をシステムからログアウトさせないまま次の人の手続きを行ったことだ。河野太郎デジタル相は「今後起きないよう、デジタル庁と自治体で連携して取り組んでいきたい」と述べた。
ようやく全国で運用を本格的にスタートさせたマイナンバー保険証でも同様のトラブルが起きている。マイナンバーカードと一体化した健康保険証について、誤って他人の情報が登録されていたケースが7300件余り確認された問題で、加藤勝信厚生労働大臣は23日、およそ3400ある全国すべての組合に対し、これまでの入力作業でルールを守っていたか点検を要請するとの再発防止策を発表した。
トラブルが全国で頻出し、マイナンバー制度そのものの信頼性が問われる事態となっていることを受け、24日に国会で答弁に立った岸田首相は、「信頼というものがあってこそのマイナンバーカードであると思います。国民がこの信頼に対して不安を感じるような指摘をされている。これは重く受け止めなければなりません」との認識を示した。その上で、「再発防止をはじめ、信頼回復に向けて、政府一丸となって対応すべき課題である」と強調した。最大2万円分のポイントを還元するキャンペーンが功を奏し、マイナンバーカードの申請率は交付開始から7年でついに全人口の8割に達しつつある。社会的基盤として利用する下地が整いつつあるタイミングでのトラブルの続出は、制度の足元を揺るがしかねない。

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<タックスワンポイント>

決算後でも税金を何とか減らす方法  除却損や経費を漏らさず計上

会社が行う「節税」と呼ばれる手法は、保険しかり設備投資しかり、そのほとんどが決算前に行うものだ。すでに決算が確定してしまった後でやれることはほとんどなく、数値を後からいじったりすると意図的な税逃れとして否認されてしまう。
それでも決算後にできることもゼロではない。例えば売上債権や貸付金など、回収不能な債権の貸し倒損失などが見つかれば、費用に計上することができる。また固定資産税台帳をチェックして、廃棄したにもかかわらず台帳に残っているものがあれば、台帳から削除して除却損を計上することが可能だ。実際に廃棄していなくても使用していないのであれば「有姿除却」として損金に含められる可能性もある。
さらに在庫を抱える会社であれば、不良在庫がないかも確認したい。型落ちや売れ残った季節商品、傷物など定価で販売できない事情があるなら、評価損の計上が認められる。ただし本当に定価で販売できないほど価値が落ちているかは、納税者と税務署のあいだで争われやすいポイントでもあるので、注意したいところだ。
駐車場料金や保険料を年間で一括払いしていれば、短期前払費用としてまとめて損金に含められたり、社会保険料などの未払いの費用を未払費用として処理したりすることもできる。そのほかにも、損金にできるはずの固定資産取得時の租税公課を取得費に計上していないか、減価償却の方法は有利なものを選べているかなど、チェックすべき項目は多岐にわたる。
これらの費用は一つひとつは細かくても、積み重ねればまとまった節税額になることもあり得る。地道にコツコツと確認して、すこしでも税負担を抑えたい。

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