<タックスニュース>

全法連が税制改正提言  事業承継税制の拡充求める

全国法人会総連合(全法連、小林栄三会長)はこのほど、「令和7年度税制改正提言」を理事会で決議した。「中小企業の活性化に資する税制措置」「事業承継税制の拡充」「消費税への対応」の3項目について提言している。
 税制改正スローガンには「『金利のある世界』が到来。新たな財政再建目標の策定を!」、「企業への過度な保険料負担を抑制し、経済成長を阻害しない社会保障制度の確立を!」、「人手不足など厳しい経営環境を踏まえ、中小企業の活性化に資する税制措置を!」、「中小企業は地域経済と雇用の担い手。本格的な事業承継税制の創設を!」の4つを据えた。
 経済活性化と中小企業対策として挙げたのは「中小企業の活性化に資する税制措置」「事業承継税制の拡充」「消費税への対応」の3項目。
 中小企業の活性化に資する税制措置としては、①大法人に適用される法人税率引き上げに関する慎重な検討、②中小法人に適用される軽減税率の特例15%の本則化もしくは適用期限延長と、適用所得金額の引き上げ、③中小企業投資促進税制と少額減価償却資産の見直し、④中小企業経営強化税制や先端設備等導入計画にかかる固定資産税特例の見直し、⑤インボイス対応等の中小企業の事務負担軽減策――を要望した。事業承継税制の拡充では、①事業用資産を一般資産と切り離した本格的な事業承継税制の創設、②取引相場のない株式の評価の見直し、③相続税、贈与税の納税猶予制度の充実――の3項目を提言。消費税への対応では、インボイス制度に問題があればその是非を含めて見直すことを求めている。
 このほか、役員給与の損金算入の拡充、少額減価償却資産の見直し、企業版ふるさと納税の適用期限延長、中小企業向け賃上げ促進税制の適用要件緩和、所得再分配機能の回復、所得税の各種控除制度の見直し、相続税の基礎控除の見直し、贈与税の基礎控除の引き上げ、固定資産税の抜本的見直し、事業所税の廃止、印紙税の廃止などを提言している。

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<タックスワンポイント>

小規模宅地特例は生計が別だと使えず  親族への無償提供は適用NG

 相続で宅地を引き継いだ際には、評価額を最大80%カットできる「小規模宅地の特例」を使えるかどうかで税負担が大きく変わってくる。特例を適用するためには様々なハードルをクリアしなければならないが、そのなかに、被相続人か、被相続人と生計を一にしていた親族が利用していた土地のみが対象となるという条件がある
 「生計を一」とは必ずしも同居していることを必要としないが、例えば独立して家計を立てている家族に無償で貸している宅地は、小規模宅地の特例の対象にはならない。
 例を挙げてみよう。定年退職したAさんが、一昨年から生まれ育った故郷に戻って暮らしているとする。定年前に暮らしていた家は土地と家屋ともにAさん名義のままだが、今は別生計の長男家族が住んでいる。長男家族からは賃借料をもらっていない。こうしたケースでは将来、Aさんが死亡して相続が発生しても、長男が「小規模宅地等の特例」を適用することはできない。

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