<タックスニュース>

相続した土地を3年未登記で罰則  法人の移転登記も義務付け

相続などをきっかけに生まれる所有者不明土地が全国で増えている問題を受け、法制審議会(法相の諮問機関)は2月10日、相続と住所変更の登記の義務化を盛り込んだ改正案をまとめて上川陽子法相に答申した。相続した土地を登記せずに3年を経過すると過料を科すことと合わせ、登記の申請負担を軽減する「相続人申告登記(仮称)」制度を新設する。3月上旬にも関連法案をまとめ、国会に提出する。
法制審議会がまとめた改正法案の要綱では、登記にかかる申請負担を軽減するため、「相続人申告登記(仮称)」を導入する内容を盛り込んだ。従来の所有者移転登記は被相続人の戸籍一式などが必要だが、新制度では法定相続人のうちの一人が自分の戸籍謄本や住民票を法務局に提出するだけで足りるようになるという。また住基ネットによって行政が死亡者を把握し、死亡した人が名義人だった不動産の一覧情報を発行し、相続関係者らが遺産の情報を把握できるようにする。
一方で、相続による取得を知ってから3年以内の登記申請を義務付け、正当な理由なく怠った時には10万円以下の過料を科す。それでも10年間届出がなければ、法定割合で分割したものとみなす。
また所有者不明土地が生まれる理由には住所変更の未登記も多いとして、改正法案では、相続だけでなく住所や氏名の変更登記も義務付ける方針だ。住所変更や結婚によって氏名が変わった時には2年以内の登記を義務付け、違反した時には5万円以下の過料を科す。対象には法人も含まれ、本社の移転登記を怠れば過料が科されることとなる。一方で、所有者本人に確認した上で登記官が職権によって変更登記を簡便に行える仕組みも設ける見通しだ。さらに所有者不明土地の管理人を裁判所が選び、所有者に代わって管理や売却をできるようにするほか、建物や土壌汚染がないことを条件に、相続した不要な土地を負担なく手放して国の帰属とできる制度も創設し、所有者不明土地の減少を狙う。

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<タックスワンポイント>

災害に強い住宅の税務  都心の住宅は「一の階」に要注意

2021年3月で東日本大震災から10年の節目を迎える。震災以降、新たに家を買う上でも耐震性能を重視する意識が強まっているそうだ。国としても耐震性能に優れた住宅を普及させたい狙いがあるようで、耐震性能に優れた住宅は、税制上でも優遇を受けることが可能だ。
マイホームには、新築であれば取得から数年間のあいだ建物にかかる固定資産税が半額になる特例がある。減免される期間は、原則として一戸建てなら3年、マンションなら5年だが、これが耐震性能に優れるなどの一定の要件を満たせば期間が延長され、戸建て5年、マンション7年まで延びる。同様の住宅の性能に応じて税優遇が増える特例は、取得資金の贈与にかかる贈与税の非課税特例でも設けられている。
ただし固定資産税と贈与税では、特例の優遇拡大の対象となる住宅が「長期優良住宅」、「省エネ等住宅」と表現が異なる点に気を付けたい。「長期優良住宅」と「省エネ等住宅」は、おおよそ一定の床面積、耐震性能、省エネ性能が基準となっている点は同じで、昨今の新築住宅やマンションは省エネや耐震に気を使っていることも多く、意識せずとも「両方に当てはまっている」ということも少なくない。
しかし注意したいのは、省エネ等住宅になく、長期優良住宅にある要件の「少なくとも一の階の床面積が40平方メートル以上(階段部分を除く)」という部分だ。この「一の階」とは必ずしも1階である必要はないが、最も面積の多い階の面積が40平方メートルであることが求められる。都心部などでは1階当たりの床面積が30平方メートル程度、3階建てで総床面積約90平方メートルという住宅も多いが、これは長期優良住宅には当てはまらない。贈与税の「省エネ等住宅」には該当しても、固定資産税の「長期優良住宅」の優遇は受けられないというわけだ。

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