Vol.0033号
<タックスニュース>
「タックスヘイブン」続々と租税条約締結
財務省は国内企業やファンドが、税金逃れのために活用するタックスヘイブン(租税回避地)として知られるイギリス領バミューダとの間で「情報交換」を目的にした租税条約の締結で基本合意した。お互いの国に対して、金融機関の口座名義人や残高などを調べて情報提供するよう求めることができるようになる。またすでに租税条約を結んでいるスイスとの間でも、情報交換を可能にする改正で合意した。今後、双方の国会の批准を経て成立する。
今回の動きは、昨年9月のリーマン・ショックをきっかけに強まったタックスヘイブン規制の一環。欧米の投資ファンドや投資銀行が、タックスヘイブンを活用して当局が把握できない規模で大量の資金運用を行い、過剰な投資行動につながって金融危機を引き起こしたとの問題意識が背景だ。
タックスヘイブンは金融立国を国策にした欧州の中立国やカリブ海や太平洋の島国など、資源に乏しい小国が多く、これまで何度も問題を指摘されながら規制を拒んできた。しかしアメリカで、ウォール街などタックスヘイブンを活用する金融産業と関係が深かったブッシュ政権からオバマ政権への交代が起きたことで、規制論が強まり世界の流れが変わった。
財務省幹部は「過去数百年、金融機関の顧客情報保護で金融立国を歩んできたスイスがアメリカの圧力に屈したのは大きな変化」と驚く。先進国クラブのOECD(経済協力開発機構)は約40カ国・地域をタックスヘイブンの灰色リストに指定しており、政府は残るこれらの国々とも徐々に租税条約締結を進めていく考えだ。
<タックスワンポイント>
「類似方式」業種目を大幅変更 自社株評価に注意
このほど国税庁は平成21年度版の「類似業種比準方式価額計算上の業種目及び業種目別株価等」が発表した。上場株式の業種目は、平成21年度については121に分類されている。業種目を分類する基準には、統計基準として総務省統計局が公示している「日本標準産業分類」が利用される。この「日本標準産業分類」は同20年4月に第12回改定が施行されたため、合わせて同21年度の類似業種比準方式業種目も改定となった。そのため、同20年と異なる分類となった業種目の株価については、今回改めて発表された同20年11~12月分と、昨年公表された同時期のものとでは数値が異なるため注意が必要だ。
内容を個別にみると、1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額の平均は前年に比べてアップ。これは、計算するうえでの基準年が同20年10月以前の決算期によるものであるため、景気悪化前の業績が反映されたからだ。株価は前年同月と比べるとほとんどの企業で下落。だが、パルプ・紙・紙加工品製造業など一部の業種目においては上昇している。