Vol.0043号
<タックスニュース>
鳩山新政権の予算主導権は? 財務省VS国家戦略局
鳩山内閣が9月16日に発足。財務相には、税財政で豊富な経験を持つ大ベテランの藤井裕久氏が起用された。新財務相の下で、財務省は2009年度補正予算の見直しと、2010年度当初予算の編成作業を本格化させる。
就任決定の知らせに財務省幹部は「落ち着くところに落ち着いて良かった」と胸をなで下ろした。藤井氏は政策に明るいだけでなく、「官僚は敵に回すのではなく、うまく使いこなすべき」との考えの持ち主。財務省の最大の懸案である財政再建にも意を尽くす姿勢をみせており、歓迎ムードが漂う。
藤井氏が最も力を入れるのは「予算の無駄の削減」だ。麻生政権下で策定された13・9兆円の2009年度補正予算について「3~4兆円は削れる」としており、来年度予算の財源などに活用する方針。「子ども手当」などの民主党の公約を実現するには、来年度で7・1兆円の財源が必要とされ、補正予算以外でも地方や公益法人向けの補助金などの大幅な削減を目指す。
一方、予算の骨格作りなどを担当する新設の国家戦略局の担当相・菅直人氏は政治主導の予算作りを目指すが、藤井氏は「単年度の予算編成はあくまで財務省が責任を持つ」と強調。予算編成の主導権をめぐり、火花を散らす関係になる可能性もありそうだ。
<タックスワンポイント>
「過払い利息」返還裁判始まる??地方税の徴収が狙い
福岡・小郡市はこのほど、市県民税などの滞納者から滞納税を徴収するため、消費者金融を相手取り過払い利息の返還を求める裁判を起こすことを決定した。同市はすでに9月開催の議会に訴訟費用を計上した関連議案を提出している。消費者金融への過払い利息については、平成18年に最高裁でグレーゾーン部分の金利は認めないという判決が下って以来、滞納税を徴収するため行政が過払い金の返還請求訴訟を起こすケースが全国で相次いでいる。
一般的に消費者金融へ金利を払い過ぎていたことが分かった場合、過払い金の返還請求権が発生する。滞納者に返還請求権があれば、消費者金融に対する債権を保有していることになるため、差し押えることが可能だ。債権は原則全額差押えなので、過払い金が滞納税額以上だった場合も部分的に差し押えるのではなく、全額差し押えてから残りを返還する。
この滞納者へ返還される額だが、たとえ滞納税額が同じでも差し押えた自治体によって変化することも。地方自治体によっては、裁判費用を返還過払い金から差し引くことがあるためだ。小郡市は「多数の自治体で裁判費用は行政負担だったため合わせた」、また東京・福生市では「裁判費用は滞納処分費用として請求」と、自治体によって異なる処分。なお国税の場合は、「裁判費用は国で負担」となる。