<タックスニュース>

来年度税制改正は小粒ぞろい  消費税増税を控え”おとなしめ”?

 政府税制調査会(安住淳財務相)で、平成24年度税制改正に向けた議論がスタートした。自動車車体課税や配偶者控除の見直しなどが焦点だが、税と社会保障の一体改革に伴う消費税増税などの重要案件を控えて時間的な制約もあるだけに、例年に比べて小幅な改正にとどまりそうだ。
政府税調は26日以後、厚生労働省や金融庁など各省庁から、9月末に提出した来年度税制改正要望に関するヒアリングを開始。今後は、民主党税調(藤井裕久会長)が11月中に取りまとめる租 税特別措置の重点要望などを受け、年末に向けて税制改正大綱を取りまとめる方針だ。
車体課税では、経済産業省が自動車所有にかかる自動車重量税と同取得税の廃止、自動車税にかかるエコカー減税の強化を要望。財務省は「減税要望に見合う増税措置が必要」と慎重だが、23年度大綱では、今回見直しする方針が盛り込まれており、自動車税と重量税の一体化やユーザーの負担軽減が検討される見通しだ。
 一方、配偶者控除は、男女共同参画の推進などの観点から同大綱に盛り込まれたが、自民党などの批判が強く、実現は不透明。太陽光など再生可能エネルギー発電設備など、福島第1原発事故対応の措置は認められそうだ。
 ただ、法人税の実効税率の引き下げや相続税増税、地球温暖化対策税(環境税)の創設など同大綱に盛り込まれた大がかりな増減税は、自民などの反対で法案は未成立のまま。東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税を含め、与野党協議の行方は見えないうえ、政府・与党が「本丸」と位置づける消費税増税の関連法案提出も今後控える。このため、政府・与党内では「来年度改正は軽くなる」(政府税調幹部)との声が支配的となっている。

<タックスワンポイント>

国税庁 企業誘致の助成金に文書回答  法人税の課税対象にならず

 横浜市が市内に本社などを設置した企業に対して交付する「企業立地等助成金」による法人収入について、東京国税局は法人税の課税対象とならないとの見解を示した。
 企業立地等助成金は、横浜市内への企業誘致を促進することによる雇用や事業機会の拡大を目的にした制度で、みなとみらい21地域や横浜駅周辺など、同市が指定した地域内に事業所を賃借して、従業者100人以上、経常利益1億円以上の規模の本社を設置した場合などに支給される。
 横浜市は、法人が同助成金を受け取った場合、その助成金額が法人税基本通達9-5-4で益金不算入と定める「実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らか」な補助金や奨励金等に該当するとの見解を示し、この扱いについて国税庁に文書照会を行った。
 この助成金は、企業立地促進条例などで明示的に「道府県民税及び市町村民税の減免」であることを表示していない。しかし、助成額は「市民税法人税割額×横浜市内の事業所の従業者数に占める設置する本社の従業者数」で計算される基準額の約2分の1となり、納付した市民税法人税割額を超えて支給されない。また、市民税法人税割額が納付されていない場合には交付されないことになっている。そのため横浜市は、助成金は「実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されることが明らか」であるとした。照会に対して国税庁は、照会に係る事実関係を前提とする限り、横浜市の見解の通りである旨の回答を行い、同助成金の収入へ課税を行わないことを示した。

税理士法人早川・平会計