<タックスニュース>

財務省 一般会計の財務状況試算発表  消費増税でも赤字体質変わらず

 財務省は1月30日、2015年度までの一般会計の財政状況の試算を発表した。「社会保障と税の一体改革」の政府・与党素案に沿って消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げた場合でも、15年度の新規国債発行額は45.4兆円に達し、12年度(44.2兆円)よりも増加する。増税でも歳入の4割を借金に頼る赤字体質が続く現実が浮き彫りになった。
 名目成長率が1%半ばで推移すると想定。一体改革に伴い社会保障給付の増額を実施する一方で、国債費を除くその他の歳出は14年度まで据え置く前提で計算した。試算によると、12年度21.9兆円だった国債の元利払い費は、残高の増加に伴って15年度は27.5兆円まで膨張。さらに社会保障給付の増額を行う結果、12年度90.3兆円だった一般歳出は、15年度は101.4兆円まで膨らむ見通しだ。
 一方、15年度の税収は、消費税率引き上げによる増収などで52.8兆円となり、12年度から10.5兆円増える。歳入の伸びが歳出増加幅を下回るため、増税にもかかわらず国債発行額が増える計算だ。ただし、国が財政健全化の指標とする基礎的財政収支(国債費を除く歳出から、税収と税外収入を除いた額)は、12年度の22.3兆円の赤字から15年度は18.2兆円に改善する。増税を行わない場合、同赤字は26.3兆円まで膨らむと同省は試算しており、消費増税の必要性を強調する内容となっている。
 予測では、政府が目標とする名目3%成長を15年度に達成するケースも試算。税収は54.8兆円に上ぶれするが、金利・物価の上昇で歳出も増加する結果、国債発行額は44.3兆円と小幅ながら増える。

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<タックスワンポイント>

減価償却制度の改正で省令公布  200%定率法への切り替え方法を明示

 平成24年4月1日以降に取得した固定資産を定率法で減価償却する場合、原則的にこれまでの「250%定率法」ではなく「200%定率法」で処理することになる。平成23年税制改正で定められたこの取り扱いには経過措置が設けられているが、1月25日に財務省令第十号として「減価償却資産の耐用年数等に関する省令の一部を改正する省令」が公布されたことで、具体的な対応方法が明らかになった。
 減価償却をする場合、「定額法」と「定率法」とのどちらかを適用することになる。定額法は償却費の額が毎年同額になる計算方法で、例えば耐用年数が10年で取得価額が100万円の資産だと、償却率は0.1で、償却費の額は原則的に毎年10万円になる。
一方で定率法は、償却費の額が一定ではない計算方法。250%定率法は定額法の償却率の2.5倍で計算することを意味し、定額法と同様の例でみると、初年度の償却費の額は25万円になる。最初の年ほど償却費の額が高くなるため、早い時期に多額の減価償却費を計上したい場合などに使われている。
 この定率法の扱いが4月1日以降に取得した資産の計算から変更されるわけだが、会社側の実務を配慮した経過措置が設けられている。まず、平成24年4月1日前に開始し、同日以後に終了する事業年度では、その事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産を取得した場合、250%定率法の償却率で減価償却できる。また、平成24年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届け出をすることで、現行の償却率で定率法を採用している資産について、償却率を改正後の償却率に変更した場合でも当初の耐用年数で償却を終了することができる措置もある。このケースでの耐用年数と取得価額の計算方法について、このたびの省令で明らかにされている。これによると、この場合の耐用年数は250%定率法で
償却してきた資産の取得価額と切り替え時の帳簿価額から「未償却割合」を算出し、未償却割合と法定耐用年数を基に「経過年数表」(附則別表)で経過年数を割り出す。法定耐用年数から経過年数を控除したものを耐用年数として計算する。また、200%定率法に変えるときは残存簿価を取得価額とみなす。


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