Vol.0170
<タックスニュース>
消費増税で下請け死活問題 政府が対策本部を設置
政府は下請けの中小企業などが増税分を販売価格に適正に転嫁できるようにする対策本部を設置した。消費増税に向けた措置。価格転嫁をめぐっては、デフレ基調の経済状況が続く中で中小企業を中心に不安視する声が根強い。対策本部では今後、業界団体などへのヒアリングなどを通じて、公正取引委員会などを通じた監視強化を目指す。
企業は本来、原材料の仕入れにかかった消費税を、製品を納入する際の販売価格に転嫁できる。しかし、下請けなど立場の弱い中小・零細企業は、製品納入先の大企業から不当な値引きや価格の圧縮を求められる例が多い。競争の激化で大企業の優位が強まっていることが背景にあるが、こうした取引が続けば中小・零細企業の経営が圧迫される。
今回の消費増税の上げ幅は15年に5%と大きく、価格に転嫁できなければ、中小・零細企業にとっては死活問題となりかねない。対策本部本部長の岡田克也副総理が「転嫁ができなければ事業者への影響は大きい」と指摘するように、税率が引き上げられた97年にも、小売価格の上昇を避けるために、中小企業が負担を強いられるケースが目立っており、早急な対策が求められている。
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<タックスワンポイント>
全国信用保証協会連合会 日税連のチェックリストで注意喚起
日本税理士会連合会(日税連)が3月にまとめた「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)の適用に関するチェックリスト」について、全国信用保証協会連合会が「信用保証協会の中小企業会計割引制度には使えないので注意をしてほしい」と呼び掛けている。
中小企業向けの会計手引きには、中小会計要領とは別に、日税連と日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4組織が平成17年に共同でまとめた「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)がある。この中小指針に沿った財務諸表であるかどうかを税理士・公認会計士がチェックするためのツールとして、日税連は「中小指針のチェックリスト」を作成していた。
つまり、中小企業向けの会計手引きは2種類あり、それぞれに対応した「チェックリスト」も同じように2種類存在している。信用保証協会連合会はふたつのチェックリストが存在することで起こり得る”勘違い”を懸念し、注意を呼び掛けているわけだ。「中小指針のチェックリスト」にだけ認められ、「中小会計要領のチェックリスト」には認められていないのが、全国の金融機関で取り扱われている関連融資。中小指針のチェックリストが添付されている場合、「税理士の”お墨付き”がある」とみなされ、無担保融資や金利優遇、借入金額の上限アップ、借入期間の延長など、優遇融資が受けられる。
全国の信用保証協会でも、中小指針のチェックリストを取り入れた「中小企業会計割引制度」がある。これは、税理士が中小指針への準拠を確認した証としてチェックリストを財務書類に添付した場合、保証料率に0.1%の割引が認められるもの。会計の質を向上させることで中小企業の金融円滑化を目的に運用されている。
日税連の調べでは、東京都産業労働局や埼玉県労働部金融課を含め、全国114の金融機関等がチェックリストを活用した優遇融資を取り扱っているという。日税連は、中小会計要領のチェックリストを添付した場合にもこうした優遇融資が受けられるように働きかける方針だ。
なお、中小会計要領での会計処理を促進するために、各機関・団体はさまざまな取り組みを始める。例えば日本政策金融公庫は、中小会計要領を活用した企業に金利優遇制度を創設する。また、中小企業庁は、補助金採択の場面で中小会計要領に従った書類には「一定の評価」を与えるという。
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