Vol.0186
<タックスニュース>
野田首相への問責決議可決 特例公債法案成立は絶望的に
2012年度予算の約4割を賄う赤字国債の発行に必要な特例公債法案が、今国会で成立することが絶望的となった。野田佳彦首相に対する問責決議が29日可決されたためだ。財源が逼迫する中、政府は9月から一部の予算の執行を抑制する「異例の措置」に踏み切る。特例法案が成立しない事態が長期化すると、国民生活への影響も懸念される。
政府は今年度予算の90・3兆円のうちの約4割(38・3兆円)を、赤字国債を発行して調達した資金で賄う予定だ。ただ、特例法案の成立が見込めない状況が続けば、10月には国の資金がほぼ枯渇する見通し。安住淳財務相は28日の閣議後記者会見で「今あるお金をどんどん使えばあっという間になくなる。限られた財源を節約しながらやりくりし、国民生活に影響を与えないやり方をしていきたい」と述べ、国民生活への影響を避けながら予算の執行抑制に入る意向を示している。予算の執行抑制の方法は、地方自治体向けの地方交付税交付金、独立行政法人向けの補助金などを先送りすることなどだ。医療費や生活保護費など国民生活に深刻な影響が出る社会保障分野などは抑制対象から外す方針だ。
特例法案が廃案になった場合は、政府は秋の臨時国会に再提出し、成立を目指す方針だ。予算の執行抑制についても、「特例法案が成立するまで、2カ月程度を想定している」(政府筋)という。ただ、「民主、自民、公明の3党の協力態勢が破綻した今、臨時国会で、特例法案成立に向けて自民など野党の協力を得られるのだろうか」(民主党幹部)と懐疑的な見方もあり、特例法案成立の道筋は依然として不透明だ。
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<タックスワンポイント>
がん保険節税にご注意 全額損金が1/2損金に
経営戦略の一環として生命保険を活用するケースがある。がん保険もそのひとつ。しかし、最近の見直しによって節税効果が半減しているので注意が必要だ。
がん保険は、初めてがんと診断されたときや、がんによる入院、死亡時などに保険金や給付金が支払われる終身保険。保険期間が終身ということで80~ 90%という高い解約返戻金も期待でき、資金繰り悪化の折には解約返戻金の範囲内で契約者貸付を受けることもできる。
満期保険金がないことなどから、会社を契約者および保険金受取人、役員および従業員を被保険者として加入した場合、一定の要件をクリアすれば保険料の全額損金算入が認められていたが、今年4月に通達改正という形で規制が入った。
新通達は、これまで全額損金が認められていた支払保険料の処理を「2分の1損金」とする内容。保険料の支払い形態に応じて税務上の取り扱いが細かく取り決められている。
例えば終身払いのがん保険の場合、保険期間の当初50パーセントまでの期間(前払い期間)における保険料は、2分の1相当額を前払い保険料等として資産計上。残り2分の1相当額を損金に算入。前払い期間経過後は支払保険料の全額を損金算入するとともに、前払い期間に資産計上してきた保険料を一定額ずつ取り崩して損金算入する。
一時払いを含む有期払いのがん保険についてはさらに細かく損金算入額が定められており、がん保険節税の最大のメリットである「全額損金」は完全に閉鎖されてしまった。
新通達の適用は平成24年4月27日以後の契約分からとされているため、これから生保節税を検討する場合には頭に入れておく必要がある。
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