Vol.0616
<タックスニュース>
税務調査が厳格化 「後出し経費」が不可に
2021年12月24日に閣議決定した22年度税制改正大綱では、税務調査での「後出し経費」の規制が見直された。また帳簿の不備に対して追徴課税を上乗せするペナルティーも盛り込まれ、納税者にとってはさらに税務調査が厳しくなることを意味する。
税務調査の場面では、仮装・隠蔽や無申告を指摘された納税者が、それまで申告していなかった簿外経費を持ち出して所得を減らそうとする“後出し”をすることが少なくなかった。
こうした簿外経費を大綱では、「適正な記帳や申告が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大で、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う」として、簿外経費の〝後出し〟で「悪質な納税者を利するような事例も生じている」ことから、厳格化に踏み切った。23年からは、仮装・隠蔽・無申告のいずれかがあった年の確定申告書に記載されなかった経費については、帳簿書類などにより費用が生じたこと、支出先の相手先が明らかであり反面調査によって支出が確かめられることなどの条件を満たす場合を除いては、原則として損金にできないこととされた。
また過少申告加算税および無申告加算税については、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかったり、売上金額や収入金額の記帳が不十分だったりしたときには、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額に、ペナルティーが加算される見直しが盛り込まれた。
具体的には、帳簿を提出できないか、提出したとしても売上金額または収入金額の2分の1以上が記載されていなかったときには本則の加算税に10%が上乗せされる。たとえ提出したとしても、売上金額または収入金額の3分の1以上が記載されていなかったときは5%が上乗せされるというもの。24年1月以降に法定申告期限が到来する国税に適用される。
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<タックスワンポイント>
消費税の還付請求に当局の目 入金後は高確率で調査?
税務当局は消費税の調査にこれまで以上に力を入れている。2019年に消費税率が本則10%に引き上げられて還付を受ける際の“利ざや”が増えたことで、悪質な不正還付が絶えないためだ。また故意でなくとも仕入税額控除の計算ミスは多く、実に調査に入ったほぼ半数が何らかの非違を指摘されているという。
特に、消費税の還付は、国側からすればせっかく集めた税金を持っていかれる制度だけに、税務署のチェックも厳しい。還付申告の際は一分の隙もないよう十分に気を付けたい。
消費税の還付申告では、「消費税の還付申告に関する明細書」を作成することになる。この明細書には、還付になった「主な理由」を書き込む欄がある。「固定資産の購入」か「免税取引の割合が高い」または「その他」を選ぶことになるが、「その他」の場合、空欄のまま出すのは絶対に避けたい。なぜなら、必ずといっていいほど税務署側の入念な“確認”を受けるためだ。
税務署に照会を求められたとき、あいまいな理由や空欄ではスムーズに還付が受けられない可能性がある。気になるのは、この還付申告による税務署側からの接触だ。本格的な税務調査になってしまう場合と、簡単な書類チェックだけで済んでしまう場合がある。還付がすんなり受けられたからといって油断は禁物だ。還付後に税務調査になるケースも多々ある。
税務調査に発展するかどうかは、前回調査を受けてからの間隔と、還付の額によるところが大きいが、還付の理由に関する請求書などはすぐに示せるようにしておくことが肝要だ。還付額が大きければ、会社の資金繰りに充てたいところ。その際は早めの申告を心掛けたい。
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