Vol.0278
<タックスニュース>
経団連税制改正に向け提言 法人税、3年後めどに20%台へ
経団連は9月10日、2015年度税制改正に関する提言を発表した。法人税の実効税率(標準税率34.62%、東京都35.64%)について、来年度から2%以上引き下げた上で、3年後をめどに20%台まで引き下げるよう要請。将来的には中国や韓国などアジア諸国を念頭に25%まで引き下げるよう求めた。
政府は6月にまとめた経済財政運営の基本方針「骨太の方針」で、法人実効税率について「数年で20%台に引き下げることを目指す」と明記。年末にまとめる15年度税制改正大綱で具体化する考えだ。
経団連の提言は、政府・与党に初年度から大胆な引き下げに踏み込み、早期に20%台への道筋をつけるよう求めたもの。政府・与党内でも初年度で1~2%程度の引き下げは必要との見方が強まっているが、今後の焦点となるのは代替財源の確保策だ。
法人実効税率は1%引き下げるにあたり4700億円程度の税収減となる。政府・与党は、代替財源の筆頭候補として法人事業税(地方税)のうち赤字法人にも課税する外形標準課税の拡大を進める構えだが、経団連の提言は「安易な拡大はすべきでない」と真っ向から対立した。外形標準課税は、企業が従業員らに支払う給料などが課税標準となっていることから「賃金・雇用を増やすと増税となり、雇用の維持・創出に悪影響が及ぶ」というのが経団連側の主張だ。
一方、財務・総務両省は外形標準課税の拡大に積極的で、総務省は9日に「地方法人課税のあり方に関する検討会」を今年度初めて開催。制度の見直しに本格着手した。財務省幹部も「赤字法人にも広く薄く負担を求める一方、黒字法人への所得課税を減らせば、企業の競争力強化につながる。構造改革が主眼だ」として、外形標準課税の拡大を来年度の税制改正の「本丸」と位置付けており、調整の難航は必至だ。
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<タックスワンポイント>
自動車諸税 エコカーの税制優遇を拡大 環境性能割を導入へ
経済産業省の2015年度税制改正要望では、環境性能に優れた自動車に対する税制の優遇措置をさらに拡大させていく内容が盛り込まれた。
自動車税では、電気自動車や天然ガス自動車など環境に配慮した車に対して課税額が軽減されるグリーン化特例を強化する一方、定められた燃料基準を満たさない車にのみ課税する環境性能割を導入する見通しだ。環境性能割の税率は燃費基準達成度に応じて0~3%の間で変動する。
自動車重量税については、エコカー減税の基準見直しを行い、環境性能に優れた車に対する軽減措置の拡大・恒久化を図るとしている。
軽自動車税は15年からの増税が決定しているが、環境性能に優れた車に対しては軽減措置の導入を検討する。逆に13年超の経年車に対しては、16年度から重課とする方針だ。
自動車取得税は、今年4月から普通車が5%から3%に、軽自動車が3%から2%に減税されているが、来年4月からはエコカー減税の対象基準を新しい燃費基準に切り替え、最終的には来年10月に予定されている消費税率10%への増税時点で完全廃止を目指すとした。
また国土交通省は、衝突被害を軽減する自動ブレーキ機能または車両の横滑りを防止する車両安定性制御装置を備えるトラック・バスへの特例措置について、対象に3.5トン超8トン以下のトラック、5トン以下のバスを追加することを要望した。合わせて、特例の3年間延長も要望した。特例は、先進安全自動車技術を備えるトラック・バスは、自動車取得税について取得価額から350万円を控除できるほか、自動車重量税を初回のみ50%軽減できるもの。トラック・バスなどの大型車両は、事故発生時に被害が大きくなる確率が高い。国交省は大型車両への先進安全自動車技術の早期普及を促したい考えだ。
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