Vol.0290
<タックスニュース>
若年層への資産移転 贈与税の非課税特例 大幅拡充
政府・与党は2015年度税制改正で、高齢層から若年層への資産移転を促す贈与税非課税制度を大幅に拡充する。祖父母や親が、子や孫に結婚や出産・育児費用を一括して贈与する場合の贈与税非課税制度を新たに創設。住宅購入資金や教育費をまとめて贈与する場合の非課税制度も期限を延長し、住宅については枠も1500万円まで拡大する。
高齢層が6割を保有するといわれる国内の個人金融資産を、消費意欲の強い若年層に移転し、消費を後押しすると同時に子育て支援を強化する。
新たに設ける制度は、祖父母や親が信託銀行などに子や孫の名義で口座を開設し、一括して預けた資金を対象とする。使途は結婚や出産・育児への支出に限り、領収書を付して引き出した分については贈与税を非課税とする。非課税枠は子や孫1人当たり1000万円とする案が有力で、15~17年度の時限措置とすることを検討している。
また、住宅購入資金を祖父母や親から援助してもらった際の贈与税の非課税制度については、今年末としていた期限を数年延長。非課税枠は現行の1000万円から1500万円に引き上げる。今年4月の消費増税以降、住宅販売が低迷を続けていることから、住宅購入のてこ入れを図る。
一方、祖父母や親が子や孫に教育費をまとめて贈与する場合、非課税とする制度も来年末に期限を迎える。今回の税制改正ではこの期限を3年程度延長する方向だ。
現行制度では通常、1人当たり年110万円を超える贈与を受けた場合は贈与税を納めなければならない。結婚や育児費用を含め、祖父母や親が子や孫に生活費や教育費を必要な都度、渡す場合は相続税法の規定で贈与税は非課税となるが、一括贈与は認められていないため、税制改正で新たに対応する。
節税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ
<タックスワンポイント>
医療費控除 ローンなら年内中の契約で
安倍首相は、来年10月に予定されていた消費税率の再引き上げを2017年4月に先送りする方針を示した。ひとまずは、ほっと胸をなでおろした人もいるだろう。だが、来年は1月から相続税も所得税も最高税率が引き上げられ、本格的な増税時代に突入することに変わりはない。それなら少しでも負担軽減できる策はないかと考えるのは人情というものだ。
まずこの時期に思いつくのは医療費控除だ。これは1年間にかかった総医療費から保険金などで補てんされる金額を引き、10万円を超えた分が還付される制度。自分以外にも生計を一にする親族の分も合算できるため、総額を改めて見直してみたい。申請時には領収書が必要となるが、領収書をかきあつめて計算してみると10万円に届く額に達することもあるだろう。医療機関への交通費のほか、付添人の交通費も控除の対象になる場合があるのでしっかり確認したい。
なお、病状によっては治療が年をまたぐこともあるだろう。来年に先延ばしにしていた治療があれば年内中に”駆け込み治療”によって10万円に届かせることも検討したい。
また、歯科治療では「インプラント」を検討している人もいるだろう。審美や美容目的でない場合は、インプラントも医療費控除対象になる。総じて高額であるため、忘れずにカウントしないともったいない。
インプラントは自由診療で高額のため、現金で一括払いよりローンを利用することも多い。その場合は、ローン会社が医療機関に医療費の立て替え払いをした日(歯科ローン契約日)が医療費を払った日となるため、来年の確定申告で医療費控除が適用されるためには年内中に支払いを済ませておく必要がある。
相続、生前対策、事業承継のご相談は税理士法人早川・平会計までどうぞ