<タックスニュース>

北九州市職員の所得税納付漏れ  1000人分の4150万円

 北九州市は7月31日、同市の職員約1000人分の所得税計約4150万円について納付漏れがあり、延滞税と不納付加算税約260万円が発生したことを明らかにした。原因は給与課の職員のパソコン操作ミスとして、延滞税などは税金でいったん負担した後、地方自治法に基づき、担当職員に請求することを検討するという。
 同市によれば、2014年11月に病院局の職員約1000人の給与支給事務を行った際、担当職員が誤って所得税の納付書に記載すべき所得税額を住民税の納付書に記載した。その後ミスに気付いたものの、訂正に必要な処理操作が不十分であったために反映されなかったという。上司も誤りの報告を受けていたが、適正に訂正されたかを確認していなかった。
 15年6月に入り、市会計室の調査により納付漏れが発覚。翌日に所得税を納付したものの、期限後の納税に課される不納付加算税と、延滞した期間に応じて課される延滞税が発生した。
 同市では09年にも職員・退職者の源泉所得税の納付漏れで約430万円の追徴課税を受けており、二度目となる納付漏れを「重大な過失」と判断。職員の責任の度合いに応じて損害賠償を求める方針を発表した。

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<タックスワンポイント>

マイナンバー利用範囲の拡大へ  金融口座へ紐付けて管理

 すべての国民と法人に番号を付番して社会保障や税の情報を管理するマイナンバー制度が、いよいよ2016年1月にスタートする。制度の運用開始に先立って行われる個人番号の通知まではあと2カ月を切り、待ったなしの状況だ。
 マイナンバー構想は当初、税、社会保障、災害対策という3分野の限られた行政手続でのみ利用されるものとしてスタートしたが、政府はマイナンバーを公的サービスのさまざまな手続きや、将来的には民間の商業サービスにまで拡大することを計画し、検討している。政府の姿勢を反映し、2015年度税制改正でも利用拡大に向けた内容が盛り込まれた。
 銀行などの金融機関は、マイナンバーから利用者の預貯金情報を検索できる管理体制の構築が義務付けられた。銀行口座にマイナンバーを紐付けできるようにする改正番号法と合わせ、口座情報を漏れなく把握することができるようにする。政府はマイナンバー制度のメリットとして行政手続きの簡素化による国民の利便性向上をうたっているが、今回の改正については大綱で「マイナンバーが付された預貯金情報を税務調査において効率的に利用できるようにする観点から」とあるように、国民にとってはメリットがあるどころか監視が強まるだけの見直しと言える。
 預金口座へのマイナンバー付番は当面は法律上の義務ではないものの、銀行からは、口座に付番するのでマイナンバーを教えてください、と言われることになる。断れば「何かやましいことがあるのか」と下手な勘繰りを招くことにもなりかねず、半ば実質上の義務化と言えそうだ。
 こうした預金口座への付番を含めたマイナンバーの利用拡大を盛り込んだ改正番号法は、現在開催されている通常国会で成立する見通しとなっていた。しかし6月に日本年金機構から101万人分にも上る個人情報が流出した問題を受け、公的機関の情報管理体制への不信が増大し、審議はストップ。安保法案などによる国会審議の停滞もあり、番号法の今国会での成立は不透明な状況だ。
 ただ甘利明経済再生担当相が「導入スケジュール自体を変更することはない」というように、マイナンバー制度が16年1月にスタートすることは間違いない。すべての企業が制度開始に向けての体制整備を急がなくてはならないだろう。

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