<タックスニュース>

NISAの長期積立枠を新設へ  コツコツ型の若者を狙い

 政府はNISA(少額投資非課税制度)について非課税期間を大幅に延ばした新たな積立枠を設立する検討に入った。利用が伸び悩んでいるNISAをテコ入れすることで貯蓄から投資への流れを進めて、経済成長につなげたい考えだ。金融庁が月末の税制改正要望で公表する方針だが、政府内には慎重意見も根強く具体化に向けては調整が難航する可能性もある。
 2014年1月に始まったNISAは、年間120万円を上限として株式や投資信託の売却や配当での利益が5年間非課税となる制度。個人資産を預金から投資に促して経済を活性化させる狙いがある。ただ、利用者の半数以上を60代以上が占めるなど若年層への浸透が課題となっていた。
 このため、金融庁は現行の5年間を大幅に延長した新たな枠を新設する方針。非課税期間は20年程度とすることで調整している。その代わり、1年間に利用できる金額は60万円以下とする。利用者は現行制度か新設する枠かのいずれかを選択することになる。「少額でもこつこつ長期的に積み立てたい若年の新規利用者を掘り起こす」(政府関係者)のが狙いだ。
 政府は8月2日に閣議決定した経済対策で、NISAについても「少額からの積立・分散投資の促進のためのNISAの更なる改善・普及」と明記しており、制度設計の具体化を進めていた。ただNISAの拡大は税収減にもつながりかねず、財務省などには慎重意見もある。年末の税制改正に向けて金融庁と財務省、与党の議論の行方が注目される。

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<タックスワンポイント>

取引先への祝い金支出は寄付金? 交際費?  金銭の贈与は実態で判断

 取引先の業務拡大や新店舗のオープンといった慶事に伴い、お祝い金を贈るときがある。この祝い金は、税務上では「寄付金」ではなく、「交際費」として処理する。
 交際費は、得意先への接待、供応、慰安、贈答などの行為のための支出をいう。一方の寄付金は、金銭、物品などの経済的利益の贈与、あるいは無償の供与のことだ。この原則を基に、具体的な支出目的や事業との関連性の具合に照らし合わせて判断する。冒頭のケースでは、現金を贈与する行為ではあるが、事業上の付き合いのための取引先への支出であることから、税務上は寄付金ではなく交際費として処理する。
 寄付金と交際費には損金算入限度額がそれぞれに定められていて、控除制度も異なる。その区別を誤ると税額が本来と違ったものになってしまい、税務調査で問題点を指摘されるおそれも出てくる。しかし、このふたつの項目は間違えやすい。そのため、国税庁はウェブサイト上に「交際等と寄附金との区分」といったコーナーを設けてその区別の仕方を解説している。
 なお、社会事業団体や政治団体に対する拠出金、神社の祭礼の寄贈金など、事業と関連がない相手への金品の贈与は原則、寄付金となる。

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