<タックスニュース>

競馬所得で巨額追徴のじゃい  国税当局に不服申立て

競馬の当選金に対して多額の追徴課税処分を受けたお笑いトリオ・インスタントジョンソンの「じゃい」が、国税不服審判所に不服申し立てを行ったことを明らかにした。異議が認められる可能性が低いことは認識した上で、「自分が声を上げることで一つの提言にしたい」と思いを語った。
じゃいは、2020年12月に競馬の予想を的中させ、6410万円の払い戻しを受け、それをユーチューブの自身のチャンネルで報告していた。その後、競馬で得た所得について確定申告を行ったが、ハズレ馬券の購入費用を所得から差し引いていたことから税務調査を受け、高額の追徴課税を受けた。その額は「マンションを買えるくらい」だったという。妻や親から借金をして納税をしたといい、税制への不満をあらわにしていた。
今回の不服申立てについて、じゃいはスポーツ紙の取材に対して、「当たっても税金を取られてマイナスになるなら、競馬をやる人がいなくなる」と懸念。「正直、裁判はしたくないけど自分が動くことで何か変われば。30年以上楽しませてもらっている競馬界を盛り上げたい」と話した。じゃいのもとには弁護士費用などとして約6000人から260万円を超える寄付が集まっているという。
ただ今回の申し立てで、異議が認められる可能性は限りなく低い。競馬に限らず公営ギャンブルの当選金は所得税法上、原則として懸賞金や拾得物の謝礼などと同じ「一時所得」に該当し、経費として申告できる金額はごく一部に限られている。競馬の当選金が一時所得に当たらないと認められる例外もあるが、網羅的な馬券購入、恒常的な利益計上など厳しい条件が設けられていて、今回のケースはこれらに該当しないとみられる。じゃいは勝率の低さは認識した上で、公営ギャンブルを巡る税制議論に一石を投じる狙いだ。
競馬の税金に対しては、ハズレ馬券の扱いだけでなく、そもそも「二重課税」との声もある。馬券購入者は購入時に約10%の国庫納付金の“テラ銭”を払っているため、このテラ銭が差し引かれた当たり馬券に対して所得税を課すのは、二重課税に当たるとの見方だ。

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<タックスワンポイント>

利用者増えるiDeCoのリスクとは  減らすべきはやっぱり「固定費」

老後の資産形成を助ける手法として、iDeCo(確定拠出年金制度)の利用者が増えている。最大の特徴は何といっても掛金として払い込んだ全額が所得から控除されることで、さらに積立金で得た配当や利子も非課税、受給時にも手厚い税優遇が付いてくるのがiDeCoの魅力となっている。
とはいえ、iDeCoも様々な注意点がある。まずiDeCoには「加入できるのは65歳未満」という年齢上限が設けられている(今後上限は引き上げ予定)。また、あくまで老後の資産を積み立てるものであるという理由から、現在は60歳になるまで払い出しができない。
さらに勘違いしやすいのが、iDeCoはNISAと異なり、税優遇はあっても受取時の所得税は免れないということだ。退職金として一度に受け取れば退職所得控除、年金として少しずつ受け取れば公的年金等控除という優遇は受けられるものの、所得税自体はかかるため、他に受け取る退職金や年金が高額だと、iDeCoについては税優遇をまったく受けられないということもあり得る。
そしてiDeCoは年金制度といっても、実際にやることは投資だ。大きく得をする可能性がある一方で、損をするリスクも存在するわけだ。老後のために積み立てたお金がなくなってしまう可能性もゼロではないことを忘れてはいけない。
ではiDeCoで利益を出すためには何が重要だろうか。もちろん価値が上がる銘柄や金融商品が分かれば苦労はないが、そんなことが可能であれば、iDeCoを使わなくても大富豪になれるだろう。神ならぬ人の身としては、堅実に〝固定費〟を減らすことを考えたい。家計を見直す時も最初にチェックするのは月々の固定費であるように、投資の世界でも固定費の削減は安定した利益形成の第一歩だ。そしてiDeCoにおける固定費とは、証券会社などに払う「手数料」に他ならない。
手数料には加入時にかかる料金以外にも、月々の口座管理手数料、さらには金融商品ごとの商品手数料や信託報酬というものもある。ひとつひとつは少額でも、積み重なれば小さくないランニングコストとなり、長期間をかけて財産を形成していくiDeCoにとっては無視できない負担となるので気を付けたい。

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