<タックスニュース>

相続税路線価が2年ぶりに上昇  最高価格は37年連続で「鳩居堂前」

国税庁は7月1日、2022年分の相続税路線価を公表した。全国平均は前年分を0.5%上回り、コロナ禍でマイナスに落ち込んだ前年から再び上昇に転じた。感染者数が減少し、コロナ禍の影響から回復しつつある状況だ。ただインバウンド需要が戻りきっていない観光地やテレワーク増加でかげりの見えるオフィスエリアなどでは下落が続く地点も多く、今後は見通せない。
都道府県別では、地方を中心に27県で下落した一方、前年より13都府県多い20都道府県で上昇した。最も伸び率が高かったのは北海道がプラス4.0%で、福岡3.6%、宮城2.9%と続く。東京や大阪、愛知など前年はマイナスだった都市圏も多くが上昇に転じた。
また都道府県庁所在地の最高路線価をみても、前年より7都市多い15都市で上昇している。最も上昇幅が大きかったのは駅周辺の再開発が進む千葉市のプラス5.1%。以下、札幌市4.8%や広島市3.5%が続いた。
路線価の全国1位は、37年連続で東京都・銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前にある銀座中央通りだった。ただし価格は1平方メートルあたり4224万円で、9年ぶりに下落した昨年からさらに1.1%下落した。
相続税路線価は、毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するもので、国税庁が1年に1度この時期に公表している。国土交通省が毎年3月に発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用される。相続税路線価の上昇は、そのまま相続財産としての価値の増加につながるため、全国的な上昇傾向は土地所有者の税負担増を意味しているとも言えるだろう。路線価には、各市町村が原則3年ごとに発表して固定資産税の算定基準とする「固定資産税路線価」もあるが、一般的に「路線価」と言えば、相続税路線価を指すことが多い。

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<タックスワンポイント>

業務中の駐車違反、罰金の税務処理  レッカー費用は損金算入が可能

駐車違反に対する罰金は、かつては運転者だけが払うものだった。しかし、2006年の道路交通法改正で「放置違反金」という制度が登場し、現在では運転者が払わない時には、車検証に記載された「所有者」が罰金を払うことになっている。これが社用車であれば、その所有者、つまり会社が支払い義務を負うことになる。
もし従業員が業務時間中に駐車違反でキップを切られてしまったら、会社としてはどう対応すべきか。結論から言ってしまえば、法律で「業務中の交通違反の罰金は会社が払わなければならない」という規定があるわけではないので、従業員の違反に対する罰金を払ってあげるかどうかは会社による。もっとも客回りをメイン業務とする営業マンなどは、どうしても路上駐車をしがちになってしまうこともあり、よほど従業員に過失がない限りは会社負担としている所も多いのではないだろうか。
社用車の交通違反で発生した反則金やレッカー費用を会社が負担した時の会計処理には、「業務上の必要性」が大きく関わってくる。例えば交通違反の内容が業務の遂行に関連があると認められれば、会社が負担した交通反則金は、会社自身に課せられた罰金と同様に取り扱い、損金には算入できない。その理由は、罰金を損金として認めてしまうと違反者に対する罰則の効果がなくなるからだと言われる。ただしレッカー費用については、実費負担という意味合いから罰金扱いにはならず、業務に関係ある交通違反でも損金算入が可能だ。
一方、交通違反の内容が業務の遂行に関連がないのであれば、罰金は駐車違反した個人が負担すべき費用ということになる。レッカー費用も同様で、これらの支出を会社が負担すると、その従業員への「給与」とみなされる。もちろん給与である以上は従業員個人には所得税が課されるが、会社にとっては損金算入ができる支出ということだ。一点注意したいのは、罰金を肩代わりしてもらったのが役員だと、臨時の「役員報酬」扱いとなってしまうことだ。この場合、肩代わりした罰金やレッカー代は会社の損金に含められず、役員の所得税も増えることとなるので気を付けたい。

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