<タックスニュース>

「貯蓄から投資へ」の流れを加速  金融教育で法人減税

金融庁が、社員向けに金融教育を行う企業に対する減税措置の新設を検討していることが分かった。岸田政権の掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる狙い。金融教育を実施した企業に対し、講師費用やセミナー料金などの一部を法人税額から差し引けるようにするという。減税額は中小企業で5%、大企業で3%となる見込み。詳細は2023年度税制改正要望に盛り込む見通しで、年末にかけて与党税制調査会が検討する。
岸田文雄首相は5月、国民の預貯金を資産運用に誘導する「資産所得倍増プラン」を発表し、仕組みづくりに動いている。背景にあるのは国内の金融資産の伸び率の低迷で、直近10年間の金融資産の推移を見てみると資産運用が活発な米国で3倍、英国で2.3倍に増えているのに対し、預貯金が主流の日本では1.4倍にとどまっているという。岸田首相は「2000兆円ある個人金融資産のうち半分以上が預貯金になっている」ことを問題視し、資産運用を促すための施策を打ち出していく方針だ。
そのほか、少額投資非課税制度(NISA)の拡充や暗号資産の課税方式の見直しも検討するという。

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<タックスワンポイント>

貯蓄型保険利回りだけで判断はNG  全額が運用されるわけじゃない!

高齢社会化による公的年金制度への不安や、世界的な物価高騰といった経済情勢の変化を受けて、生命保険の持つ「金融商品」としての機能に再注目する人が増えている。従来のような定期預金や公的年金の積立だけでは老後の安心を確保できず、貯蓄に加えてもしもの時の保障も得られる生命保険が資産運用の手法として求められているわけだ。
資産運用の手法として貯蓄型保険を選ぶメリットは、保障と貯蓄が同時にできること、銀行の定期預金よりは利回りがいいこと、株やFXのような損失リスクを抱えず着実に資産形成ができることなどの点が挙げられる。一方デメリットもあり、保険料が高く、想定していたタイミング以外での途中解約は元本割れのリスクがあること、資産形成に長期間を要するためインフレリスクをはらむことなどがあるだろう。
これらをまとめると、貯蓄型保険はおおむね、「保険が必要で、できればお金も貯めていきたい」、「お金の運用を他人に任せたい」、「投機的ではなく安定して長期にお金を貯めていきたい」といった要望がある人に向いている。逆に、「短期間での資産拡大を望む」「資産をハイリスク・ハイリターンで運用したい」という人には、他の手法が向いているだろう。
数ある貯蓄型保険のなかから一つを選ぶ上では、やはり「予定利率」が気になるところだ。予定利率は保険会社が契約者に対して約束する利率のことで、「予定」と言うものの、ほぼ確定と理解しても差し支えない。この予定利率が高い保険ほど資産形成する上では有利になるので、なるべく予定利率が1%でも高い保険商品を選択したいところだ。
ただし、支払保険料の全てが運用に回されるわけではないことに注意が必要だ。支払った保険料は、死亡保険金に備える部分、満期保険金などの支払いのために運用される部分、保険会社の経費や儲けに充てる部分の3つの用途に使われることになる。死亡保険金に備える部分と保険会社の経費や儲けになる部分は運用に回されずに費消されるわけだ。
例えば100万円の保険料を支払っていても、死亡保険金用に5万円、保険会社の経費などに5万円を充当していれば、実際に運用されるのは残る90万円となる。予定利率2%で5年間の運用をすれば、運用益は90万円×2%×5年間=9万円となり、元本90万円にプラスされ満期保険金は99万円となるわけだ。このタイミングで満期保険金を受け取っても、支払った保険料100万円に対しては元本割れとなってしまう。貯蓄型保険を契約する際は、単純に予定利率のみで判断せず、支払保険料に対する満期保険金の実際の支払い額をチェックすることを忘れないようにしたい。

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