Vol.0535
<タックスニュース>
企業版 ふるさと納税全国561自治体に ―税額控除の拡大受け―
政府は3月31日、企業版のふるさと納税について、新規と継続を合わせて全国561自治体に制度の活用を認めることを明らかにした。2020年度から寄付した企業の税額控除が拡大されることになり、大幅に増えた。寄付の対象になる具体的な事業については、自治体と企業が協議して決める。
企業版ふるさと納税は、国が認定した地方創生の取り組みに寄付をすると税制上の優遇が受けられる制度。企業は支援したい自治体の地域活性化事業に寄付すれば、法人税などが軽くなる。16年に始まったものの、手続きに手間がかかる仕組みがネックになって実際に導入するケースは少なく、4年間で計428自治体にとどまっていた。寄付額も18年度は約35億円と、個人版(5127億円)の1%にも満たなかった。
政府は利用を促進するため、4月から税額控除の割合を寄付額の3割から6割に倍増。さらに申請する段階で相手企業や寄付の見込み額を示さないで済むよう、手続きを簡潔にした。制度の拡充により、寄付額の9割が差し引かれるため、企業にとって実質的な負担は1割まで圧縮された。
今後は導入の拡充を後押しするサービスも増えてきそうだ。JTBは4月10日、企業版ふるさと納税のマッチングサイトをオープン。支援する自治体の検索から決済まで、一括で済ませることが可能になる。支援額は1口10万円からで、比較的少額だ。個人版のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクも、自治体の課題と企業が掲げる提案を照合する事業を近く始める予定だ。
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<タックスワンポイント>
確定申告忘れの還付期限は翌年から5年間 できることなら申告期限に
今年の確定申告は新型コロナウイルスの影響で4月16日以降も可能とされたが、それでも様々な事情で還付のための申告ができなかったということもあるだろう。そういう人のために、税法では「還付申告」という制度を設けている。
還付請求をするのは、「しまっておいた医療費の領収書が後から出てきた」「昨年末に組んだ住宅ローン申告が間に合わなかった」「保険や高額療養費の金額が確定しなかった」「退職したことで年末調整しないままだった」「地震や風水害で自宅や家財に被害があったのに忘れていた」「ふるさと納税についてワンストップ特例の申請も確定申告もやっていない」といった人だ。
還付申告についてまず気を付けたいのが申告期限の計算だ。還付に関する確定申告は、通常3月15日までの確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間とされている。気を付けたいのは、あくまで翌年の正月から5年間であり、「3月15日の確定申告期限」ではないという点だ。仮に2014年分の医療費控除があったとすると、原則としては確定申告の法定申告期限は15年3月15日であることから20年3月15日までと思いがちだが、これは昨年12月31日に締め切られているため、もう還付請求はできないことになる。
それと、「翌年1月から5年間有効であれば、なにもわざわざ混み合う3月15日までに申告する必要はないのではないか」と思う人もいるだろうが、早合点は禁物だ。確定申告は6月から納付する住民税の計算に影響することから、時間の経過によって本来享受できるメリットを失うことにもなりかねないためだ。
住民税の計算のベースは、昨年末の年末調整や確定申告をした所得税の計算のベースの所得金額と同じだ。そのため、確定申告での所得額が低ければその分だけ住民税額は少なくて済むし、逆に多ければ住民税額は多くなってしまう。
年末調整で所得額が多くなったが医療費控除を行えば少額になるというときに、還付申告を遅らせれば住民税は高額のままということだ。さらに、自治体の公的サービスの多くは住民税の計算のベースである所得額を元に判断されるため、生活の様々な面にも影響を及ぼす可能性も否定できない。