<タックスニュース>

東京都のベビーシッター助成  税負担増のカラクリに大不評

東京都がベビーシッターの利用者向けに設けている助成制度が不評だ。最大で月額約50万円という手厚い支援が受けられるにもかかわらず、延べ利用者数が2年間でたった300人程度にとどまっている。実際に使用すると後になって税負担が生じてしまうカラクリが影響しているとみられる。今年度にてこ入れして補助額を増やしたものの、都関係者は「十分な評価を得られるとは思えない」と頭を抱えている。
都は2018年度、保育所の待機児童対策の一環として、ベビーシッターを利用した場合の自己負担分を軽減する措置を導入した。1時間あたりの負担額は19年度に250円だったが、20年度は150円で済むようになった。1カ月ベースで試算した場合、1時間2400円のシッターを平日に11時間、20日分頼むと50万円以上かかることになるが、自己負担は3万円超にとどまるという手厚い支援システムになっている。
補助額を今年度から大幅に拡大したのは、利用者が一向に増えないためだ。50億円の予算を充てた18年度は29人、19年度も「200人台」(都幹部)だった。都は、正規の料金と自己負担分の差額が「雑所得」として扱われてしまう仕組みがネックになっているとみている。
助成額が年20万円以上になれば、利用した翌年には確定申告が必要だ。今年度も、年収500万円の人が20年4~12月に月平均50時間の助成を受ければ、約100万円の助成金も所得とみなされる。確定申告すれば、年額約20万円の所得税や住民税の納税が新たに必要になってしまう。都は国に税制優遇を要請したが、なしのつぶてだったといい、都に賛同して窓口で取り扱う都内の区市町村も14自治体しかない。小池百合子知事の肝いりで始まった施策が岐路を迎えている。

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<タックスワンポイント>

過大徴収されていないか? 「縦覧」で固定資産税の正しさをチェック

地方税法では、固定資産税の税額算定に当たって、土地の現況などを定期的に確認する事を自治体に求めている。しかし実際には、一度算定された税額は増築や取り壊しなどの変化がないかぎりノーチェックで据え置きにされ、特例の適用ミスなどで過大な税額が算定されても長期間放置されてしまうのが実情だ。そして過大徴収は全国で起きていて、誰にとっても他人事ではない。
自分が持っている固定資産税の課税台帳を閲覧すれば評価額は確認できるのだが、素人ではその評価が正しいのか判断することも困難だ。そこで活用したいのが「縦覧」制度だ。縦覧とは、土地や家屋がある場所の市役所などで、自身に加えて近隣の土地家屋の評価を確認できる制度のことだ。近隣の家屋と評価額を比較することで、自分だけが過大な税金を徴収されていないかをチェックできるというわけだ。
縦覧ができる期間は自治体ごとに4月から1~2カ月程度で設定されている。もし今の時期に役所に行く用事があるなら。ついでにチェックしてみるのもいいかもしれない。

税理士法人早川・平会計