<タックスニュース>

国際合意受け改正へ  法人税の最低税率15%

政府・与党は2023年度税制改正で、法人税の最低税率を15%に引き下げる方針を固めた。経済協力開発機構(OECD)で法人税の最低税率を15%とする国際基準が概ねまとまったことを受け、日本も歩調を合わせるという。12月中旬にまとめる与党税制改正大綱で詳細を詰め、来年の通常国会で法改正案を提出する見込みだ。
新ルールが施行されれば、海外進出する日本の中小企業の税負担が増す可能性がある。例えば法人税率5%の国に子会社がある日本の親企業に対し、税務当局は国際基準との差分10%を上乗せして課税できるようになるためだ。
OECDは多国籍企業による租税逃れを防ぐ国際課税の新ルールのひとつとして、23年までに法人税の最低税率を15%とするよう世界各国に求めている。各国はこれまで、自国への企業誘致などのために法人税率の引き下げ競争を行ってきた。そうしたなか、巨大IT企業などのグローバル企業がアイルランドやハンガリーといった低税率国に拠点を移す「課税逃れ」が主要国の財政運営に悪影響を及ぼすなど問題化しており、OECDは最低税率の国際ルール策定に向けて議論を実施してきた。OECDによれば、最低税率の導入により世界全体で新たに年間約1500億ドルの税収が見込めるという。
現在OECDでは法人税率の15%への引き下げが大枠で合意されたことを受け、新ルールにおける税務手続きの詳細についての検討に入っている。今年中にもまとまる見通しで、一部報道によると日本国内では一定の準備期間を経て24年にも新ルールが施行される可能性があると見られている。
経済界からは、競争環境がこれまでよりフェアになることから最低税率の導入を歓迎する声が上がる一方で、各国間のルール調整による制度の複雑化や、税務手続きの対応コストが膨らみかねない点が懸念されている。

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<タックスワンポイント>

扶養控除は1年ごとに変更OK  年末調整後なら2人とも確定申告を

16歳以上の子がいる家庭は、年間の所得から一定額を差し引ける「扶養控除」が使える。ただし同控除は夫婦双方が適用することはできず、配偶者のどちらが適用するかを選ばなければならない。
扶養控除の適用対象者は一度決めたら変えられないというものではなく、1年ごとに選び直すことも可能だ。例えば夫の個人事業の業績が悪化したため、これまでは夫が適用してきた扶養控除を、1年だけ会社員である妻に適用することも問題ない。
適用対象者の変更手続きは、会社の年末調整書類で行うことができる。年末調整が終わってしまってから変更を決めたなら、夫婦2人とも確定申告をすることで、適用対象者を切り替えることが可能だ。ただし確定申告の期限内に変更手続きをする必要があり、3月15日の期限を過ぎた後に修正申告をしても控除適用者を変更できないので気を付けたい。
なお扶養控除は、子どもが複数いるなら1人ずつ扶養親族を分けて控除を受けることも認められている。ただし会社や健康保険組合によっては控除の状況によって扶養手当を減らされることもあるので、そうした諸々を確認した上でトータルの負担を検討して適用対象者を選びたい。

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