<タックスニュース>

裁決文書の個人情報を漏えい  黒塗り処理せず開示

東京国税不服審判所が個人情報をふくむ文書の開示請求に応じた際、本来は隠すべき個人情報が閲覧できる状態で開示するミスがあったことが分かった。同様のミスは2021年7月から今年1月にかけて、246件にのぼるという。
ミスがあったのは、審判所に対して審査請求を行った納税者の個人情報についての部分。裁決結果を参考にしたい第三者が文書開示を求めた場合、通常であれば審査を請求した人の個人名などはマスキング(黒塗り)された状態で提供されることとなっている。だが今回開示された裁決書では、パソコン操作で手を加えると、マスキングした部分が外れてしまう状態だった。
審判所によれば、開示され得る状態になっていたのは、審査請求人の氏名や住所、所得金額、追徴税額など。246件のうち33件は開示請求者によってインターネット上に掲載されていたが、墨塗り部分の情報漏えいなどは確認されていないという。
ミスの原因は、電子化された裁決書をいったん印刷し、印刷後の文書を電子データに戻して開示する必要があったところを、担当職員が印刷作業そのものをしていなかったことだとしている。審判所は開示請求した16人に個別に謝罪したうえで、データを回収して削除。また246件の裁決書に関係する審査請求者297人に対しても経緯を説明し、個別に謝罪するとしている。

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<タックスワンポイント>

大学の奨学金を親が返すと贈与税の対象  教育資金ともいえるが税務上は債務肩代わり

会社をハッピーリタイアして生活にゆとりが出たこともあり、大学の奨学金の返済を続けている息子に代わり、自分が一括返済してやろうと考えた。他の学業に関する費用と同様に、扶養義務者である自分が子の奨学金を肩代わりしても贈与税がかからないと考えてしまいそうだが、それは誤りだ。
親子や夫婦などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産は、原則として、通常必要と認められるものであれば贈与税がかからない。しかし奨学金は、教育のためのお金ではあるものの、子ども名義で借りるため、親が一括返済する場合は「教育費の支払い」ではなく「子の債務の肩代わり」とみなされ、贈与税が課されるのだ。
これを回避する方法は2つある。1つ目は、本当に子に資力がなくて奨学金の返済ができないケースだ。国税庁の定めたルールでは、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」に限り、扶養義務者が返済を肩代わりしても贈与税を課さないとしている。ただし「返済が困難」というのは毎月の生活費が苦しい程度ではなく、本当に返済が不可能なケースに限られるので、税務署に認めてもらうのはハードルが高いといえる。
そしてもう1つの方法が、肩代わりする額を、他の贈与を含めても年間110万円までに抑えるやり方だ。贈与税のルールでは年間110万円までは非課税となるため、この範囲内に肩代わり額を抑えることで税金を免れることができる。

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