<タックスニュース>

消費税&所得税  選挙にらみダブル減税案が浮上

院任期が残り約1年3カ月となり、今秋の衆院解散総選挙の憶測がささやかれている。さらに選挙対策として、消費税減税や所得税減税案さえ浮上している。
期解散の急先鋒は麻生太郎財務相兼副総理。自身が首相だった2008~09年、リーマン・ショックへの対応もあって任期満了間近の解散に追い込まれ、民主党に政権を奪われた「トラウマ」がある。昨年は参院選とのダブル選を進言するなど、ことあるごとに早期解散を唱えてきた。6月29日には、公明党の斉藤鉄夫幹事長と会談。「来年の東京五輪もどうなるかわからない。今秋はチャンスだ」と伝え、秋解散に理解を求めたという。
一方、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響は長期化するとの見方が強まっている。5月の完全失業率は前月比0.2ポイント上昇の2.9%。米国の1日あたり感染者が再び増加傾向に転じ、日銀短観の大企業製造業の景気判断は過去2番目の大きな落ち込みを示している。製造業の低迷が長引けば、雇用環境の悪化がこれから本格化することになる。
こうした中、選挙公約の目玉として、1~2年間の期間限定で消費税や所得税を減税する案が浮上している。思い切った負担軽減策で支持率好転につなげる狙いだ。消費税減税は恩恵が広く行き渡るが、高額な買い物をする高所得者に恩恵がより大きくなるとの指摘もある。そこで、中所得者以下に限った所得税減税を推す声もある。
ただ、2次にわたる補正予算編成で今年度の赤字国債発行額は総額90兆円に膨張。19~20年度の税収減はリーマン・ショック時の約13兆円を超える恐れもある。これ以上のばらまきには強い異論もあり、今後の解散政局の行方とともに様々な憶測が飛び交いそうだ。

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<タックスワンポイント>

今年も来る台風、早退の従業員に給与は必要か  会社都合であれば平均賃金の6割支給

気象情報会社ウェザーニュースは先ごろ今年の台風傾向の予想を発表し、8月~10月は太平洋熱帯域で海面水温が平年より低い状態が続くラニーニャ現象あるいはラニーニャ気味となる可能性があり、7月までは少なめながら、8月以降は台風の発生が増え、シーズン全体としての台風発生数は例年並みの26個前後に上るとした。昨年は全国で台風が猛威を振るい、企業活動にも大きな影響を与えたが、今年も同様の状態が起きることを覚悟しておいたほうがいいだろう。
台風はあらゆる交通や流通をストップさせるため、人の流れもモノの動きもすべて止めることがある。自社の従業員に対しても同様で、一瞬の判断遅れで帰宅困難になってしまうこともあるため、毎年台風のときは定時より早めに帰宅を促す企業も多い。
労働時間内に就労していなければ、基本的には「ノーワーク・ノーペイ」の原則にもとづき給料を支払う必要はない。だが早退が会社の指示によるものであれば、それは「会社都合」となり平均賃金の60%を休業手当として補償する義務が生じる。では、例えば1日の所定労働時間が5時間の短時間労働者につき、台風のため4時間で帰宅させたとすると、1日の支払いはいくらになるか。
これは4時間分の正規の料金に加え、働けなかった1時間分の6割を足した額と考えがちだが、実は実働の4時間分だけの支払いでよいとされている。60%というのは、あくまでも1日の平均賃金の6割という意味であるため、すでに4時間分(80%)が支給されているため、支払義務は満たしているからだ。
もちろん、これはあくまでも「会社都合」であることが条件で、従業員から「早く帰りたい」という申し出があれば「従業員都合」となり、会社に6割の補償義務はない。とはいえ、台風が迫り来るなかで、会社と従業員の間で「どちらが先に言い出すか」とチキンレースをやってしまうのはナンセンスだろう。社の発展のため、長い目で災害時の対応を労使できちんと話し合っておきたい。

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