<タックスニュース>

納税猶予の適用  1カ月で前年の28倍

新型コロナの影響で収入が大幅に減少した事業者が税金を1年間猶予される「納税猶予の特例」について、4月30日から5月29日までの適用件数が2万6千件だったことが国税庁の発表で分かった。昨年1年間に適用された全ての件数の28倍に当たる。
特例の4月30日からの1カ月間の適用件数は2万6385件で、合計450億5800万円が猶予されたことになる。昨年1年間の納税猶予の適用件数943件、猶予額27億700万円と比べ1カ月で大幅に上回った。
特例は通常の納税猶予と違い、無担保かつ延滞税ゼロで納税期限を先延ばしできる。また通常の納税猶予は赤字企業を対象としているが、特例は黒字でも猶予の対象となる。対象税目は印紙税など一部を除くほぼすべての税目で、今年2月1日から来年2月1日までに納期限がある税金に適用できる。
特例の申請期限は、3月決算法人(申告期限5月末)の税金など6月30日までに納期限があるものであれば一律に6月30日だったが、7月以降は対象となる税金の元々の納期限までとなっている。今月以降は納期限にさかのぼって適用することはできないので、税務署で早めに手続きをするようにしたい。

税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

亡くなったのは大晦日か元日か  孤独死が生んだ路線価のミステリー

今年の相続税路線価が発表された。路線価は毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するものなので、つまり土地の相続税評価額は、原則として死亡した年の元日の値段によって決められることになる。今年の1月1日から12月31日までに発生した相続については、「2020年の元日の値段」が適用されるわけだ。
近年ではインバウンド需要の高まりを受けて、観光地などでは1年で3割以上も路線価が上がることもあった。12月31日から1月1日へと夜が明けるだけで相続税の評価額が3割も変わるのだから、当事者にとっては大事だ。
過去には、こんなケースもあったとか。元日の朝に、お風呂で亡くなっているところを発見された女性。果たして息を引取ったのは、大晦日のうちか、それとも元日になってからか…。このケースでは年をまたいだほうが路線価が下がっていたらしく、遺族は「故人は紅白歌合戦を見た後に、除夜の鐘を聞いてから入浴する習慣があった」と主張して、年内に亡くなった前提で相続財産を評価した国税当局と争ったという。
ちなみに路線価が発表される7月までに相続が発生した場合、概算での申告もできるが、最終的には正しい路線価を基に修正申告をしなければならない。税の申告は7月まで待つのが賢明だろう。

相続専門の税理士による、相続、生前対策、事業承継のご相談は、初回無料で実施中です

税理士法人早川・平会計