<タックスニュース>

セルフメディケーション税制  医薬品団体が全OTCへ拡大要望

日本製薬団体連合会(手代木功会長)と日本一般用医薬品連合会(柴田仁会長)は7月17日、セルフメディケーション税制の対象医薬品を薬局などで買える全てのOTC医薬品(市販薬)に拡大することを求める要望書を公表した。両連合会によると、現状はドラッグストアなどで購入するOTC医薬品の8割以上が対象外となっている。
2017年にスタートしたセルフメディケーション税制は、ドラッグストアなどで買える一部の「スイッチOTC薬」の費用に限り、8万8千円までの範囲で所得から差し引ける制度。現状スイッチOTC薬として認定されている医薬品は、風邪薬、絆創膏、花粉症の薬など約1800品目で、一般医薬品や要指導医薬品などのOTC薬全体(約1万1千品目)の2割に満たない。両連合会は「税制の仕組みはできるだけ簡素であるべきで、現行の税制対象の線引きは合理的ではなく、国民的な理解を得るのは困難」として、人の身体に直接使用しない殺虫剤などの一部の薬剤を除き、「要指導医薬品」「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」を対象に含めるように求めた。
要望書ではこのほか、購入費から差し引ける下限額を現行の1万2千円からゼロ円に引き下げ、また所得控除の上限額を8万8千円から10万円に引き上げることを要望した。さらに同税制の期限(2021年12月)を撤廃し、恒久措置とすることも求めている。
連合会が3月に実施した調査によると、セルフメディケーション税制の認知度は72.1%。制度の改善点として最も多くの回答が寄せられたのは「申告対象の製品を全OTC医薬品に拡大」の55.0%で、「申告手続きの簡素化」(20.8%)や「下限金額の撤廃」(11.8%)の回答数を大きく上回った。

税、申告、事業承継のお悩みは無料相談実施中の税理士法人早川・平会計までどうぞ

<タックスワンポイント>

民法改正で「介護貢献」をカタチに  相続人以外でも金銭要求可

昨年に施行された改正民法では、これまでの相続のかたちを大きく変える見直しが多数盛り込まれた。そのうちの一つが、介護などで貢献した親族が金銭を要求できる権利の創設だ。法定相続人でない者であっても、生前に介護などで特段の貢献をしたと認められれば、遺産分割の際に一定の金銭を「特別寄与料」として要求できるようになった。
これまでも、何らかの貢献があった時に、貢献度を取り分に反映できる「寄与分」の制度はあった。しかし対象はあくまで相続人だけで、代襲相続などの例外を除き、配偶者、子、両親、兄弟姉妹だけということになっていた。例えば家族介護の現場では、長男の嫁が両親の世話をするというケースも多いだろうが、この貢献は遺産分割に反映されず、そもそも法定相続人でない長男の嫁は遺言などがない限り1円も受け取る権利がない。
少子高齢化が進むなかで家族介護がさらに増加し、介護負担が大きくなっていくことから、改正民法では、こうした相続人以外の介護貢献者の権利を拡大する見直しが盛り込まれた。導入された特別寄与料は、これまであった「寄与分」の対象範囲を法定相続人以外の親族にも広げるもの。具体的に貢献度をどう評価するかは「寄与の時期、方法および程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮」して家庭裁判所が決定するとしている。
ただ、介護をすることで減った本業の収入の証明は難しく、どこまで寄与分に反映されるかは不透明な部分もあるため、介護をした人の貢献がどこまで正当に評価されるかは分からない。もし自分が介護を受ける身で、世話をしてくれた人に感謝の気持ちがあるのなら、譲りたい財産を遺言などではっきり示しておくことが一番だろう。

相続専門の税理士による、相続、生前対策、事業承継のご相談は、初回無料で実施中です

税理士法人早川・平会計