<タックスニュース>

泉佐野市、タオルからの再出発  「国の嫌がらせ」対決姿勢崩さず

ふるさと納税の返礼品を巡る裁判で国に勝訴した大阪府泉佐野市が、7月30日に返礼品を贈る寄付の受付を再開した。まずは地元産の吸水性に優れる「泉州タオル」のみを返礼品とし、11月までに野菜や魚介など1000品への拡充を目指す。いずれも「寄付額の3割以下の地場産品」のルールを満たすもので、今後はアマゾンのギフト券などを贈る考えはないという。
「長きにわたる総務省との戦いを経て復帰できたのは感慨深い」。千代松大耕市長は記者会見でこう述べ、制度復帰を発表した。同市が豪華返礼品を理由に制度から除外されたのは昨年6月のこと。実際に制度から外れていたのは1年余りだが、総務省との闘争の歴史は数年間にわたる。“不良自治体”のレッテルを貼られながらも豪華返礼品によって納税者から圧倒的な人気を獲得し、良くも悪くも制度の顔となった千代松市長は、復帰の日を迎えて「地元の方々にとっても、泉佐野市のふるさと納税というのは必要不可欠なものだったのだな」と感慨深げに語った。寄付は市が運営する専用サイト「さのちょく」から受け付ける。返礼品となる泉州タオルは200種類を用意するという。
もっとも、返礼品を巡る裁判では勝ったものの、同市と総務省の争いの火種が完全に消えたわけではない。ふるさと納税制度で多額の寄付を集めたことを理由に総務省から特別交付税を減額された決定に反発、市は6月に総務省を訴えている。こちらはまだ係争中なだけに、泉佐野市はファイティングポーズをまだ解くつもりはないようだ。
寄付を受け付けるサイト「さのちょく」では、かつて制度改正直前に駆け込みでアマゾンギフト券をプレゼントしたキャンペーンを思わせるレイアウトで、「逆転勝訴」を打ち出した「10億円赤字支援プロジェクト」を実施。プロジェクトの説明では、「新型コロナ対応と国の嫌がらせにより地域医療の拠点が苦境に…」と見出しに掲げて国への敵意を隠さず、特別交付税を充てる予定だった病院の経営が悪化していることを報告している。

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<タックスワンポイント>

賃金請求権が時効延長!未払賃金に注意  残業代の請求は3年、付加金は5年に

賃金請求権の消滅時効が今年4月施行の改正民法で5年に延長されたことにともない、残業代を請求できる期間制限(時効)についても検討されてきたが、こちらについては当面は「3年」を落としどころとして、改正労働基準法が成立、施行した。一気に5年に延びることを危惧する中小企業団体からの要望が強く、経営者の多くはとりあえず安堵したのではないか。
経営者が覚えておきたいのは、時効適用の時期だ。3年の時効は今年4月以降に支払われる賃金からが対象となるため、22年4月を過ぎないと2年分以上の残業代は請求できないことになる。つまり時効が3年になったその日(22年4月1日)に残業代を請求しても、19年の分は過去3年に遡って請求することはできないということだ。
とはいえ、この改正で残業代などの「未払請求」という言葉の普及が進むのは確実で、未払請求訴訟を専門にする弁護士などはこれまで以上に活気付くものとみられる。働き方改革で労働時間に対する考えが変化してきているなか、企業の労務管理対策は不可欠だ。コロナ不況と相まって、残業代倒産などという言葉が現実味を帯びてきそうだ。
なお、今回の改正にあたっては、労働者名簿や賃金台帳など労働関係の重要書類の保存期間は5年に延長されているので覚えておきたい。労基署の臨検などでは保管期間が指摘されることも多いので注意が必要だ。
さらに、解雇予告手当、年次有給休暇中の賃金、休業手当、割増賃金の未払いにかかるペナルティーである「付加金」についても、請求権が5年に延長されている。割増賃金の請求権延長と合わせて、見逃してはならない改正点といえるだろう。

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