<タックスニュース>

京都市の「空き家税」  投資家の評価は真っ二つ

京都市が新設を決めた「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」について、不動産投資家の評価が真っ二つに分かれている。不動産投資のポータルサイトを運営するファーストロジックが不動産投資家654人を対象に実施したアンケートによると、空き家税の新設について「支持する」が43.0%、「支持しない」が44.0%だった。京都市は新税導入により空き家の市場流通を促す狙いだが、投資家の半数は否定的な見方をしている実態が浮き彫りとなった。
空き家税とは、空き地や別荘など普段人が住んでいない住宅に課税する京都市の新制度だ。市街化区域内にある固定資産税評価額が20万円以上(条例施行後5年間は100万円以上)の物件を対象に、原則として家屋の固定資産税評価額の0.7%を課す。また、土地の評価額などに応じて税率の加算もある。京町屋など歴史的価値のある建物や入院・海外赴任など特殊な事情のある空き家は減免対象となり、課税対象となる物件は市全域で約1.5万件に上る見込み。京都市は今年3月24日に総務相の同意を得ており、2026年度にも導入する計画だ。
アンケートでは、支持する理由として「空き家が増えるとエリアの資産価値が下がる。空き家を減らすための新税には賛成だ」との意見が寄せられた一方で、不支持とする側からは「買い手のつかない土地を相続してしまうと、永続的に課税されてしまうリスクがある」と懸念する声が上がった。

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<タックスワンポイント>

消費税の「損税」って一体なんだ?  たびたびの税率アップで問題が深刻化

消費税のインボイス制度が導入される10月が近づくにつれて、導入の是非を問う議論が再加熱している。免税事業者の苦境を訴える反対派に向けて、賛成派からよく言われるのが「免税事業者はもともと益税を手にしていたのだから、それをなくすのは当然のことだ」という言葉だ。だがそれなら消費税の「損税」についても是正が叫ばれてしかるべきだが、そうした声はほとんどない。
消費税の課税事業者は、仕入れ時には消費税を支払い、売上時には消費税を受け取る。年間を通して売上時に受け取った額のほうが多ければ差額分を納税し、逆に仕入れ時に支払った額のほうが多ければ還付を受けることが可能だ。しかし商取引のなかには政策上の観点などから消費税のかからない取引として定められているものがあり、この非課税取引の割合が多いと消費税の還付を受けることができない。つまり仕入時には消費税を支払っているにもかかわらず売上時に受け取ることはできず、一方的に損をこうむる。これが「損税」問題だ。
損税の代表的なものには、医療業界の診療報酬が挙げられる。病院にある医療機械や注射器のような消耗品の仕入費用にはすべて消費税が上乗せされている。一方で、診療時に支払われる診療報酬には消費税がかからない。小売業などであれば商品の値上げという形で負担を消費者に転嫁できるが、診療報酬は国が定める公定価格のため勝手に変えられない。2年に1度行われる改定では消費税分を見込んだ増額がされているものの、日本病院団体協議会の調査によれば、改定があっても消費税分を補てんできない病院は過半数を超えているという。
また賃貸アパート経営者も「損税」の被害者だ。住居用の家賃は人間が生きていくために最低限必要な費用ということで、政策上の理由から非課税取引となっている。消費税分を家賃に転嫁すればよい話ではあるものの、人口減少などによって空室率が高まるなか、家賃の値上げは簡単にはできないのが実情だ。リフォーム代や修繕費には当然ながら消費税がかかるため、税率が引き上げられれば維持コストがかさむことになる。「益税問題」がさかんに議論されている今こそ、賃貸オーナーらも「損税問題」について声を上げるべきかもしれない。

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