<タックスニュース>

長野県のふるさと納税  返礼品なしで住民サービス向上へ

ふるさと納税の返礼品競争はとどまることを知らない。その一方で長野県は、返礼品なしで寄付を募る新たな取り組みを始めた。県直営のふるさと納税受け付けサイト「ガチなが」が、4月3日に開設された。大手仲介業者への委託費用などをなくしてその分を本来還元されるはずだった住民サービスに充てる。県によると全国初の取り組みだという。
「ガチなが」によると、返礼品代や配送料、業者への委託費などの事務経費は寄付総額の約半分に上り、その分住民サービスに充てられる金額が減っているという。こうした課題を解決するために、「ガチなが」では返礼品なしで寄付金の使い道により寄付先を選んでもらい、寄付者がともに事業を「共創」するような仕組みを目指す。
サイトでは、伝統工芸の支援や自然・環境保護、教育支援や人材育成など10種類の事業が示されており、その中から寄付先を選ぶ。寄付者が事業へのアイデアや意見、応援メッセージを投稿でき、寄付金が使われた事業の成果を動画や写真で発信していく仕組みも導入する。
「ガチなが」の名称は「ガチ(本気)で長野県をよくしたい」という寄付者の思いに応える場にしたいとの期待からだという。
ただ、地元の特産品を返礼品とした従来のふるさと納税の取り組みも続ける。県内産業の需要喚起につながるとして、事業者に委託している別サイトでの寄付金の受け付けが継続される。
ふるさと納税制度によって税収の流出が著しい都市部では返礼品競争が過熱化する動きもある中で、長野県の試みが歯止めになりうるのか。注目が集まる。

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<タックスワンポイント>

節税のための海外移住は現実的か?  親にも子にも10年縛りのハードル

多く稼いだ分だけ納めるのが筋とはいえ、近年の富裕層を狙い撃ちにした税金の数々はさすがに目に余る。かくなる上は財産を持って国外に移住するしかない。そんなことを考えても、国外への資産移転を実行するのはなかなか難しいのが現状だ。そもそも日本から海外への移住をめぐる税金のルールは、かつてより厳しくなっている。2017昨年3月までは、相続人と被相続人の両方が5年を超えて海外に住んでいると、海外資産に対しては日本国内での相続税は課されなかった。しかし同年4月以降は、5年超という要件が2倍の10年超に引き上げられた。現在では、たとえ9年住んでいても日本の相続税が課される。
さらに15年7月に導入された国外転出時課税では、有価証券など1億円以上の金融資産を持っている人が海外に住所を移して出国する際や、海外にいる親族などに財産を贈与・相続する際に、その段階で資産が売却されたとみなして含み益に譲渡所得税を課するようになった。日本国内での税負担が重いからといって、資産を海外に自由に持ち出せるわけではないということだ。
これらの税務上の要件を満たせたとしても、住み慣れた日本を離れて生活が激変するという、移住最大のリスクは解消できない。他にも目的があるならともかく、税金対策のためだけに慣れない海外に10年間住むのは困難を伴う。もしも海外移住を検討するなら、税負担だけでなく、家族も含めたライフプランまでをしっかり考慮したいところだ。

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