<タックスニュース>

またもや大企業の中小化  出前館が1億円に減資

宅配ポータルサイトを運営する出前館が資本金を現在の3億7572万円から1億円まで減らすと発表した。5月10日の取締役会で決議しており、6月22日から適用される見込みだ。
同社はピザや弁当、中華、寿司といった飲食物の宅配サービスを展開している。コロナ禍の「巣ごもり需要」を捉え、加盟店数は2019年時点の2万店から23年1月時点で10万店へと5倍に急増した。ただ利用者向けアプリや広告宣伝費の投資が膨らんでおり23年8月期の連結最終損益は169億円の赤字となる見込み。最終赤字となれば5期連続だ。
コロナ禍の収束による外食機会の増加を受けて宅配サービスの利用者が減少傾向にある中、同社は各種コストの見直しに着手しており、資本金の減資も財務改善に向けた取り組みのひとつだ。法人税法では資本金1億円超を大法人、1億円以下を中小法人と判定しており、中小法人には800万円までの所得に対する法人税率の軽減や、欠損金の繰越控除、法人事業税の外形標準課税の免除など大法人にはないさまざまな税優遇が設けられている。また、設備投資に対する減税措置など租税特別措置法の優遇対象になることもある。
コロナ禍をきっかけに大企業の“中小化”は相次いでいる。すでに航空会社のスカイマークや旅行大手のJTB、全国紙の毎日新聞社、液晶大手のジャパンディスプレイといった有名企業が1億円への減資を実行した。

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<タックスワンポイント>

贈与に必要な「あげましょう」「もらいます」  調査を受ければ約9割に申告漏れ

「ところで奥様、過去に働かれていたことはありますか」「いえ、ずっと専業主婦です」「おかしいですねえ、どうしてこんなに預金に残高があるんでしょうか。これは亡くなったご主人の収入ですね。贈与の証拠がなければ、相続税の対象となってしまいますが…」
非常によくある、相続税の税務調査でのやり取りだ。亡くなった夫としては生前に妻に財産を渡したつもりだったかもしれないが、それを妻が証明できなければ贈与は成立せず、相続財産として相続税を課されてしまう。
贈与の大原則は、「ただであげましょう」「ただでもらいます」という双方の合意と認識があることだ。例えば孫名義の通帳を管理していて自分名義の通帳から移し替えるだけで贈与をしたつもりになっているケースがあるが、もらった側が知らないで贈与が成立することはない。贈与をするなら、きちんと相手に伝えること、もらった人に財産が実際に渡って、もらった人自身によって管理されているという事実が重要となる。合意は書面でしなくても、口頭でもかまわない。しかし税務調査の場面で証明できる自信がないなら、契約書などの書面にして自署押印しておくと非常に心強いだろう。
また、モノの実際の引き渡しなくして贈与は成立しない。現金や預金なら、あげる人の通帳からもらう人の管理する通帳へきちんと振り込まれていることが贈与の証明となる。不動産を贈与するなら、登記などの名義変更手続きを絶対に忘れてはならない。
また年間110万円以内の贈与は非課税だが、「毎年110万円を10年にわたって贈与する」というような契約は、それ自体が一つの贈与契約である「連年贈与」と認定され、贈与税を課されかねない。この連年贈与対策として、毎年111万円を贈与して申告しておけば税務署に否認されることはないとの“裏ワザ”がまことしやかに語られることがあるが、会計事務所を対象としたアンケート調査によれば大半の税理士が「意味がない」と答えている。

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