<タックスニュース>

所有者不明土地の利用者課税ルール  通年使用が基準に

所有者不明の土地が全国で増えている問題を受けて、土地利用者に固定資産税を課す新ルールの運用基準を総務省が固めた。一時的利用ではなく年間を通して居住する場合などを利用者と定義し、所有権を持っていなくても課税対象とする。
新ルールでは、所有者が分からない時には、土地を実際に利用している人に固定資産税を課す。一時的な利用は該当せず、継続して居住したり事業を営んだりと、年間を通して利用しているケースを課税対象とする。実務では、住民票や電気・ガスの利用、家財の保有状況などから総合的に判断するという。
賃貸借関係がある時は、借り主ではなく貸し主が利用者と判断される。複数人が共同利用していれば連帯して納税義務を負い、土地家屋の一部のみを利用していると特定できれば、該当部分のみが課税対象となる。
利用者による納税が済んだ後に本当の所有者が特定されたとしても、それまでの自治体による所有者調査に落ち度などがない限り、利用者から徴収した固定資産税を返還するなどの措置は行わないという。
固定資産税を所有者でなく利用者に課す制度は、2020年度税制改正で導入が決まった。具体的な判断基準が決定されたことを受け、近く各自治体にガイドラインとして提示する方針だ。21年度の課税からの適用を目指す。
所有者不明土地が増えている主な理由は、相続時の未登記が挙げられる。現在の相続登記は任意で、登記を行うかは相続人の判断に委ねられているため、相続人が固定資産税などの税負担を避けたり、土地管理の煩わしさから放置したりするケースが多く生じていた。所有者台帳から持ち主をすぐに特定できない土地は、民間調査によれば全国で約410万ヘクタールに上るという。

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<タックスワンポイント>

教育資金を一括贈与して相続対策  来年3月が期限駆け込みで増えるか

相続対策として生前贈与が有利といわれる理由には、多くの「非課税特例」の存在がある。毎年110万円の非課税枠に加え、要件も様々な多種の税優遇と組み合わせることで、劇的に税負担を減らせる可能性があるというわけだ。
そのなかでも富裕層に利用されることが多い特例として、「教育資金贈与の特例」がある同特例は、子どもの学費負担などにかかる経済的不安から若年層が結婚や出産に尻込みして少子化が進んでいるとして、若年層への資産移転を促す目的で2013年に導入された制度で、30歳未満の子や孫を対象として、教育資金として使うのであれば受贈者一人当たり1500万円までの一括贈与について贈与税を非課税にする。これまでに累計20万件超、1兆円を超える財産が同特例によって贈与されている人気の制度だ。
ただ導入後に制度に手が加えられ、現在では、贈与を受ける側の所得合計金額が1000万円を超えると利用できず、贈与を受けた側が23歳以上であれば学費や限定された教育訓練費以外の費用は非課税の対象外となり、贈与を受けた側が23歳以上で、学校等に在学せず何ら教育訓練も受講していない時には、贈与して3年以内に父母や祖父母など贈与側が死亡すれば贈与財産は相続税の対象となるという制度になっている。導入当初は受贈側の年齢にかかわらず、相続税の「3年持ち戻しルール」の対象外であったことも人気の理由だったのだが、現在ではその相続対策にはフタがされた形だ。
一方で、導入当初より緩和された部分もある。当初は特例による非課税期間を受贈者が30歳に達するまでと限定していたが、現行制度では、受贈者が学校等や教育訓練を受けている場合にかぎり、40歳まで非課税措置が延長されている。相続税対策としてではなく純粋に教育資金として使う分には要件を緩くするということのようだ。
この特例は来年3月末までの贈与が期限となっている。
今年末にまとめる21年度税制改正で延長される可能性もなくはないが、もし特例の利用を考えているのなら、残り数カ月のうちに贈与を済ませてしまいたい。

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