Vol.0688
<タックスニュース>
国税庁が意見公募 タワマン節税の新ルール
富裕層の相続税対策として活用されてきた「タワマン節税」について、国税庁はタワマンの相続税評価額を実勢価格の最低6割に引き上げる新たな計算ルールへの意見公募を開始した。集まった意見などを参考にして通達を改正し、来年1月以降の相続や贈与に適用する方針。公募期限は8月20日となっている。
国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に「一室の評価かい離率」を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出す。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定したという。
新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割まで評価額が上がる。過去の調査では、平均して実勢価格と評価額に3.16倍のかい離があったという。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなる。
マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら評価額が変わらないため、これまでは同じマンションのなかでも1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続税評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれていた。
これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するという「タワマン節税」が流行していた。
こうした問題を受け、2023年度税制改正大綱では「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載し、今年1月からは国税庁の有識者会議が新ルールを検討していた。
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<タックスワンポイント>
脅迫で書かされた遺言状!? 書かせた本人は「相続欠格」に
父が死亡し、長男、次男、長女が相続人となった。葬式の後、父の書斎から見つかった遺言書には「次男に財産のすべてを相続させる」と書かれていた。長男と長女は「父は次男に暴力をふるわれていたし、かわいがっていたと思えないのに……」と困惑する。その後、タンスの奥に隠されていた父の日記帳に、「次男に遺言書を無理やり書かされたがどうしたらよいのかわからない」と書かれていたことを長男と長女は知る。
このようなとき、被相続人を脅迫して遺言を書かせた人は相続人としての資格を失うので、次男は財産の一切を受け取れない。これは民法で定めた「相続欠格」という制度に基づくもので、ほかにも被相続人やほかの相続人を殺そうとして刑に処された人、被相続人の殺害を知っていながら告訴や告発をしなかった人、遺言を偽造、変造、破棄した人は相続権がなくなる。
なおこのような要件を明確に満たしていなくても、日常的に暴力を振るわれていたなどの理由で相続人から排除したい人間がいるときには「相続廃除」という制度を使うこともできる。ただし過去の判例を見ると廃除が認められたのは、親の家から金品の持ち出しを繰り返して親に暴力を振るい、サラ金業者から金を借りて親に借金対応をさせたというようなケースであり、「何かと反発してくる」や「折り合いが悪い」程度の事情では、廃除は認められない可能性が高い。
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