Vol.0698
<タックスニュース>
インボイス登録取り下げ 累計2万1820件に
10月1日にスタートしたインボイス(適格請求書)制度の発行事業者登録を取り消した事業者数が、2万1820件に達したことがわかった。制度の廃止を求める市民団体「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)が、国税庁の公表データを基に、毎月「登録取り下げ・失効件数」のデータを集計・分析した。
登録事業者の「登録取り下げ・失効件数」は、同会が統計を取り始めた2022年5月は170件で、その後10カ月は3桁台で推移してきたが、制度開始を半年前に控えた今年4月に1898件と4桁に上り、実施直前の9月単月では7837件と急増した。
このタイミングでの取り下げ・失効件数の急増について同会では、「発注側に頼まれて一旦は登録したものの『やっぱりやめよう』という思いや、『経過措置の間は様子を見てもいいのではないか』など、地に足のついた検討が広がっていったことで、特に免税事業者の間で課税期間が発生しないで済む9月末までに一旦取り下げようとの決断が多く出たのではないか」とコメントしている。
なお、「取り下げ・失効」については9月までしかできないが、9月末ギリギリでの取り下げ申請がかなり多かったことから、国税庁側で処理しきれていない分が存在するとみられている。同会では、10月末分のデータが出た時点で、改めて集計・分析するとしている。
今回の結果について、インボイス登録の「ボイコット大作戦」を提唱してきた神田知宜税理士は、「税制に関して、一度申請した登録を取り消す動きがこれだけ出るのは極めて異例のこと。先日提出した55万筆の反対署名とともに、政府は今回の結果を重く受け止め、今からでも遅くないので廃止の検討をすべきだ」と訴えた。
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<タックスワンポイント>
iDeCo優遇はあるが非課税ではない 間違えやすいNISAとの違い
老後の資産形成を助ける手法として注目を集めるiDeCo(確定拠出年金制度)。最大の特徴はなんといっても、掛金として払い込んだ全額が所得から控除されることだ。年金として積み立てた額がすべて控除されるのだから、年金の受給額を増やしながら節税できることになる。さらに積立金で得た配当や利子も非課税で、受給時にも手厚い税優遇が付いてくるというのだから嬉しい。
とはいえiDeCoにも様々なリスクやデメリットがある。まずiDeCoは年金制度といっても、実際にやることは投資に他ならない。大きく得をする可能性がある一方で、損をするリスクも存在するわけだ。老後のために積み立てたお金がなくなってしまう可能性もゼロではない。さらにiDeCoは、他の年金制度に加入しているかどうかで年間の拠出額の上限が変わり、また「加入できるのは65歳未満」という年齢上限が設けられている。
非課税の恩恵を受けて資産形成をするという点では「NISA」などと比較しやすいが、iDeCoによる投資は、あくまで老後の資産を積み立てるものであるという理由から、原則として60歳になるまで払出ができない。そして勘違いしやすいのが、iDeCoの投資で得た利益は、完全な非課税ではないという点だ。
iDeCoで儲けたお金には、税優遇はあっても必ず受取時に所得税がかかる。退職金として一度に受け取れば退職所得控除、年金として少しずつ受け取れば公的年金等控除という優遇は受けられるものの、所得税自体はかかるということだ。これはNISAが払出時にも非課税であることとは大きく異なるポイントだ。
もっとも、これらの注意点を踏まえてもiDeCoが老後の資産形成のために取れる有力な選択肢の一つであることは変わらない。各控除の枠を出ないよう受け取ることで課税を避けられることもあり、また掛金の控除と合わせればトータルで得をすることもあるため、自分にとってどうすれば得かを、しっかり検討して利用したい。
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