Vol.0699
<タックスニュース>
タワマン節税の規制ルール 1月からがスタート
国税庁は10月12日、タワーマンションなどに適用する相続税の新たな算定ルールについての通達を発遣した。新ルールは来年1月以降に相続などで取得された物件から適用する。今回の通達は、高層マンションの相続税評価額と実勢価格の差を利用した『タワマン節税』を抑止するもので、今年7月に通達案を公表してパブリックコメントを募っていた。
国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に一室ごとの評価額のかい離率を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出す。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定された。新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割まで評価額が上がる。過去の調査では、平均して実勢価格と評価額に3.16倍のかい離があったという。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなる。
パブコメには102通の意見が寄せられた。例えば、今回の通達の適用範囲が区分所有マンションに限定され、いわゆる「一棟所有」には適用されない点が不公平との指摘があった。これに対して国税庁は、「本通達は、分譲マンションの流通性・市場性の高さに鑑み、その価格形成要因に着目して、売買実例価額に基づく評価方法を採用した」と答え、区分所有マンションに限定したことには合理性があるとしている。一方で、一棟所有についても「評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合には、引き続き評価通達6(いわゆる総則6項)により評価する」と釘を刺している。
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<タックスワンポイント>
法人の決算日を避けるべき6つの時期 自社に合わせて最適なチョイスを
「法人の決算日は、一度決めたら変えられない」と考えている経営者は少なくないが、実際には法人の決算日は何度でも、自由に変えてよい。ただ、決算日を決めるに当たって避けるべき時期というものがあるため、ここではそのポイントを紹介したい。
1つ目は言うまでもなく自社にとっての繁忙期だ。業務量が増加して忙しい最中に、決算にまつわる事務負担までのしかかってくると、業務効率が低下することこの上ない。実際にもほとんどの法人が、自社の繁忙期を避けて決算日を定めているだろう。
2つ目は、利益額が急変動しやすい時期だ。決算日直前に利益額が急激に変化すると利益や納税額の予測値と実際の結果との間にブレが生じてしまい、事前に行った決算対策や納税の資金繰りが意味を成さなくなってしまう。売上の最盛期や不測の支出の生じやすい時期を決算日にするのはやめたほうがいい。
3つ目に、支出が多くなる時期も避けたい。法人の決算にまつわる税金は決算日から2カ月以内に納付するため、多額の支出と決算後の納期限が重なってしまうと一時的に資金繰りが圧迫されかねない。賞与や保険料など多額の支出がある時期と決算日をずらしておくだけで、資金繰りが楽になるだろう。考慮すべきは賞与(7月・12月など)、納期特例の源泉所得税(7月・1月)、納期特例の個人住民税(6月・12月)、労働保険料(7月)などだ。
4つ目が、在庫数量が増える時期だ。決算に当たっては、在庫の数量とその金額を確定するための「実地棚卸」が必須だ。現存する在庫の数量を確認するので、在庫が大量にあればあるほど作業も大変になるのは言うまでもない。決算日を設定するに当たっては、在庫の積み増しが起こりやすい時期を避けるか、あるいは逆に決算前のタイミングに合わせて在庫処分セールを行って在庫を減らすなどの対策を講じたい。
5つ目のポイントとして、税務デメリットが生じる時期を考慮すべきだろう。税に関するルールには決算日や事業年度開始日を基準にして適用の有無が分かれるものが多くある。税制改正でも「○年○月○日以後終了の事業年度から適用する」など法人の事業年度によって適用されるタイミングが変わるため、税制改正による不利な取り扱いを避けるため、もしくは有利な取り扱いを受けるために決算日を変更するというのは、十分あり得る話だ。
最後の6つ目が、顧問税理士の繁忙期だ。ここまで考えて決算日を決めることはまれかもしれないが、決算処理や税務申告を税理士に依頼しているのであれば、税額予測や決算対策、申告処理を早期に完了させるための重要なポイントとなる。税理士の繁忙期はおおむね年末調整と確定申告の時期(12月~3月)と、一番多いとされる3月決算法人の申告時期(5月)なので、これらの時期を外した決算日にしておくと税理士とのやりとりや事務処理がスムーズになるだろう。
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