<タックスニュース>

外形標準課税の見直し  日商などが「断固反対」

日本商工会議所(日商、小林健会頭)は、全国商工会連合会などの中小企業関係4団体と連名で、外形標準課税の中小企業への適用拡大に反対する意見書を公表した。総務省の審議会では、中小企業に認められている優遇税制などを適用することを目的に資本金を1億円以下に減資する大企業が後を絶たないことから、こうした企業も外形標準課税の対象になるよう仕組みの見直しを求める案を取りまとめている。これについて意見書では、無関係の中小企業にまで外形標準課税の対象が及ぶものと「断固反対」との立場を表明した。
外形標準課税は、利益に応じた課税とは異なり、事業所の床面積や資本金などに課税される地方税で、見直し案では、資本金と資本剰余金の合計が一定基準を超えた場合も課税対象に加えるとしている。
こうした動きを受けて鈴木淳司総務相は11月17日の記者会見で、外形標準課税について「実質的に大規模な法人を対象に制度的な見直しを検討するものであり、中小規模の企業を対象とするものではない」と中小企業への適用拡大を否定した。
日商の小林会頭は記者会見で、資本金を減資して課税を逃れる大企業に対して、「脱税行為ではないが、言葉を選ばず言えばセコイ」と批判した。

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<タックスワンポイント>

粉飾決算の裏技禁止で還付まで5年  融資と還付の繰り返しはNG!

粉飾決算とは、企業が悪化した財務状況を隠し、まるで経営が健全であるかのように見せかけた決算書を出すことをいう。偽りの数字をベースに今後の事業計画などを示して銀行筋を欺いて融資を受けるなど、株主や取引先、顧客までをも騙す極めてタチの悪い犯罪だ。
一方で、粉飾は結果的に利益を多く見せる行為であるため、税金面をみれば本来より多くの儲けを申告していることになる。つまり過大納付になっている状況だ。そこで粉飾を目論んだ会社で悪事がバレてしまったときには、「これ以上、多い儲けの姿を税務署に見せ続けておく必要もない」として、納め過ぎた分の還付請求を行うだろう。しかし、こうしたケースでは、還付はすぐには認められないルールになっている。
通常であれば税金の過大納付分は、国税当局が定める手順を踏めばすぐに還付を受けられる。しかし、故意に粉飾をした会社にもこのルールを適用すれば、利益を本来より上積みした決算書(申告書)を作って銀行から有利な融資を受け、その後に税務署に請求して還付金を受け取るといった〝裏技〟が使えてしまう。恥も外聞もない会社であれば、それを繰り返して運転資金を回し続けるということも不可能ではない。そのため、粉飾などの仮装経理をした会社に限っては、納め過ぎた分をすぐには受け取れず、5年程度をかけてようやく取り戻せるというルールが適用されている。
ひとたび粉飾に手を染めれば、翌年度の決算がさらに苦しくなり、それをごまかすためにまた嘘を塗り重ね、粉飾から抜け出せなくなる。そして粉飾がバレたときには、世間からは冷たい目で見られ、株主は離れていき、銀行の信用を失い、多く納めた税金はなかなか返してもらえないと何重苦にもなる。ウソの決算はくれぐれも慎みたい。

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