<タックスニュース>

外形標準課税の見直し  自民税調で懸念多数

自民党税制調査会は11月29日、幹部会合と総会を開き、2024年度税制改正大綱の策定に向けて主要検討項目を議論した。その中で、都道府県が課税する法人事業税の「外形標準課税」の課税基準見直しに関し、中小企業やスタートアップに課税対象が拡大する懸念があるとの意見が多数上がった。
「中小企業やスタートアップに影響はないと総務省は言うが、具体的な根拠は全くないと考える。中小企業団体からも、一度基準が入れば50億円から引き上げが進む恐れがある。今回の提案が中小企業への課税拡大への布石となる強い懸念を抱いている」。出席したある男性議員はこう反対した。
外形標準課税の現行の課税基準は資本金1億円超。資本金や給与総額などに課税されるため、赤字の企業も課税される。04年度の導入時は大企業のみに課税するため、税法上の大企業と見なされる同基準が採用された。
総務省は今回の見直しで、「資本金と資本剰余金の合計額」を追加基準とし、50億円超を課税ラインにする案を持つ。
ただ、全国の商工会議所が会員の日本商工会議所(日商)は「断固反対」と真っ向から対立している。小林健会頭は16日の記者会見で「中小企業の賃上げを後押しする動きとは反対の方角だ」などと理由を説明した。
2自民党税調で宮沢洋一税調会長は「節税目的で減資をする大企業のみを抽出できるような制度が重要」という趣旨の発言をしている。22、23年度の与党税制改正大綱でも検討課題に挙げられていたことから、年末にどんな結論が出るか注目が集まっている。

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<タックスワンポイント>

税金で損をしてしまう早生まれ  扶養控除が1年遅れに

早生まれの人の親は税金で損をしてしまう。所得から一定額を差し引ける扶養控除の仕組みが、1~3月に生まれた人には不利なものとなっているためだ。
扶養控除は、16歳以上の人を扶養している家族が、所得から38万円を差し引ける制度だ。16歳以上か否かは12月31日時点の年齢で判定する。
問題は同じ学年の生徒でも12月31日時点の年齢はふたつに分かれることだ。高校1年生の段階で12月31日までに16歳になって扶養控除の要件を満たすのは、遅生まれの生徒に限られる。早生まれの生徒は高校1年生の時点では扶養控除の対象にならないため、その親は遅生まれの生徒の親と比べて1年待たないと控除できないということになる。
それだけであれば1年スタートが遅れるだけでトータルは同じだろうと思うかもしれない。しかし早生まれの子どもはトータルの控除額が減る可能性が高い。子どもが学校を卒業して一定の給与を受けると、所得制限によって扶養親族から外れてしまうためだ。そうなると、親が1年遅れとはいえ適用できるはずだった所得控除を使えなくないということになる。
同様の「損」は児童手当にもいえ、児童手当の受給要件は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)」となっている。このため早生まれの子は15歳にもかかわらず中学を卒業しているため児童手当をもらえず、最大で遅生まれと11万円ほどの差が出てしまう。
なお例外として、1月1日生まれの人は早生まれではあるが扶養控除の対象となる。というのも、民法の規定により、年齢が一つ増える時刻は誕生日の0時ではなく、誕生日前日の24時とされているためだ。1月1日生まれなら12月31日の24 時の時点で16歳になり、控除対象となる。
扶養控除制度には、19歳以上23歳未満の子がいる人に対し、通常より多い63万円を差し引ける特例も設けられている。大学の授業料など多額の教育費支出が必要になる親の負担を軽減するためのものだが、この特別控除も早生まれの子の親は適用まで1年待たされることになる。

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