<タックスニュース>

国税庁は前年度から予算が微減  税制改正経費は27%増

政府が12月22日に閣議決定した2024年度予算案で、国税庁の予算は前年度比で4%弱の微減となった。納税者サービスのための「納税者利便性向上経費」や、税務大学校経費、国税不服審判所経費などが前年度より減少した。
国税庁の24年度予算は6170億300万円で、23年度当初予算の6416億5200万円から246億4900万円マイナスと3.8%減った。納税者利便性向上経費が前年度比2.6%減、職場環境整備・安全対策経費が同7.6%減と減ったことなどが影響した。一方、前年に比べて増加したのは、国際化対策経費、庁局 署一般経費、税制改正関係経費などだった。特に税制改正関係経費は前年から26.8%の大幅増となった。
なおこれらとは別に、23年度補正予算で、インボイス制度に関する相談支援の強化に4億円、定額減税相談支援として17億円、日本産酒類の海外展開を支援する事業経費として14億円が措置されている。
人員面では前年から1176人を増員する一方で、定員合理化によって1140人を削減。24年度の定員は5万6380人で、前年度より36人の増加となった。
役職で見てみると、国際的な租税回避への対応などのために国税庁に「国際徴収調整官(仮称)」を設置する。また経済取引のデジタル化に対する調査・徴収のために東京国税局に「査察情報技術解析課(仮称)」を新設する。そのほか各地の国税局に国際税務専門官や情報技術専門官を増員する。
さらに20年にスタートした、税務署間の照会事務などを統括する「業務センター室」の機能を拡充するため、各国税局に「統括国税管理官」、「主任国税管理官」を大幅増員する。

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<タックスワンポイント>

認知症の母が不動産を売るのに必要な後見人  本人のために法律行為を代行

認知症の母の生活費が足りなくなったので、母名義の不動産の売却を検討している。しかし認知症によって意思能力がないと判断されてしまうと、不動産売買契約を結んでも無効となってしまう。ではこの不動産はどうやっても売却できないのだろうか。
このようなケースでは、家庭裁判所に「成年後見人」を選任してもらうことで、代わりに売買契約を締結することが可能だ。
不動産売買契約などの契約が有効とされるには、契約の当事者に判断能力(意思能力)があることが前提だ。認知症と診断されると本人に意思能力がないとされてしまい、財産を処分できない。そのため認知症になってしまった人の不動産を売却するには、代わりに財産管理をする成年後見人の選任手続きを家庭裁判所で行う必要が ある。
成年後見人は、本人に代わって財産管理や介護施設入所への契約、また遺産分割の協議などを行う。成年後見人は3つに分類され、本人に判断能力がまったくないなら「後見」、判断能力が著しく不十分なら「保佐」、判断能力が不十分なら「補助」となる。後見人になれるのは親族のほか、弁護士、司法書士、社会福祉士、法人、 市区町村長など多様だ。成年後見制度の申し立てることができるのは、本人や配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官、市区村長などとなっている。
高齢社会化に伴い、認知症患者は増える一方だ。そのぶん、成年後見制度の重要性も増すばかりだが、同制度の持つ独特の硬直性が課題との指摘もある。成年後見制度では後見を受ける人の保護を図ろうとするあまり、後見人が動かせる財産の裁量が細かく規制されている。原則的に本人の財産が減少する可能性のある投資や運用は できず、他者への生前贈与などもできない。あくまで「財産を維持しつつ本人のためになること」にしか財産を動かすことはできず、たとえ相続対策や会社の経営のために必要な取引であっても相当の困難を伴うという短所がある。
制度の硬直性については国も認識しているのか、2016年には後見人の権限拡大を認める促進法が施行されている。これにより被後見人あての請求書などの郵便を直接開封でき、被後見人の死亡後、相続人に引き継ぐまでの債務弁済なども行えるようにはなった。

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