<タックスニュース>

ガソリン税「被災地復旧に不可欠」  トリガー条項が再び議論に

 ガソリン税の上乗せを停止する「トリガー条項」の凍結解除を巡り、国民民主党が能登半島地震の被災地復旧のためにも「ガソリンの値下げが不可欠」との認識を示している。ただ、駆け込み需要や終了前の買い控えに伴う物流の混乱や制度の技術的な問題などが懸念材料となっている。価格高騰対策の補助金が切れる4月末までに結論を出す見通し。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は1月15日、石川県かほく市など金沢市周辺の被災地を視察。翌16日の記者会見で「補助が入っているにもかかわらずやっぱり高い。復旧復興の事を考えても、特に地方はただでさえガソリンが手に入らない。復旧復興を進めるためにも、ガソリン値下げは不可欠だ」と述べた。
 トリガー条項は、2010年に旧民主党政権が創設した。ガソリン税は1リットル当たり53.8円だが、ガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で同160円を上回った場合に25.1円の上乗せを止める。軽油にかかる軽油引取税も17.1円を同様に止める仕組み。11年の東日本大震災の復興財源を確保するため、発動せずに凍結されたまま現在に至る。
 資源エネルギー庁によると、ガソリンの店頭価格は1月9日時点で1リットル当たり175.5円で、前週より0.5円上がった。政府は22年1月以降、計6兆円超の補助金を投入し、今年4月末までの延長も決めている。現行の補助率は同185円超なら全額、185円以下なら60%となっている。
 トリガー条項の凍結解除は現在、自民、公明、国民民主の3党が立ち上げた「原油価格高騰・トリガー条項についての検討チーム」で議論されている。12日に開かれた、実務者級の初会合では、トリガー条項の凍結解除が見送られた22年4月までの検討内容について、発動時の買い控えや解除前の駆け込み需要による混乱、ガソリン製造業者と販売業者が税金を還付したり追加で支払ったりする実務上の負担増など懸念材料への認識を共有した。
 今後の検討課題となる項目で、国民民主党から出席した礒崎哲史参院議員は会合後、「まず実務ベースとして元々あった課題を進めていく。加えて、能登半島の災害への対応も加えた形で議論を進めていくところまで確認した」と語った。一度は見送られた議論が震災の影響でどう変化するのか注目が集まっている。

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<タックスワンポイント>

国税当局も注視するメルカリ所得  税務調査は1年間で約500

 メルカリやヤフオクといったネットオークションの市場規模は、経済産業省の調査によれば1兆円を超えるという。雑貨や古本だけでなく貴金属や自動車などの高級品が売られていることも珍しくなく、捨てるよりマシとネットオークションを利用して不要になった日用品を売った経験のある人も少なくないだろう。近年ではスマホアプリなどから簡単に売買のやり取りができる気軽さもあり、その市場規模は拡大し続けている。
 ネットオークションであろうがフリーマーケットであろうが、一定の儲けが出ているのなら確定申告を行い、所得に応じた税金を納めなければならない。ただし例外もあり、実際にはネットオークションで出品者となった経験のあるほとんどの人が以下のルールに該当するはずだ。
 「資産の譲渡のうち、家具、じゅう器(家庭用の道具)、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の売却については、所得税を課さない」
 つまり日用品の処分としてオークションを使っている分には、それがいくらで売れようが、所得税を課されることはない。ただしオークションで売ることを前提として商品を仕入れたり、継続的に物を売って利益を得たりしていると、税務署から指摘される可能性はないとは言えない。なお「貴金属や宝石、書画、骨董(こっとう)など、1個あるいは1組が30万円を超えるもの」の売却は譲渡所得が発生するという規定もあるので、家にあるものなら何でも非課税というわけではないことを覚えておきたい。
 気になるのは、原則として非課税である通勤用の車が、金額基準の30万円を超える額で売れた時はどうなるかということ。そこは30万円超であっても通勤用のマイカーであれば非課税だが、フェラーリやベントレーといった高級車であれば通勤用に使っていたとしてもぜいたく品として課税する、という運用がされているようだ
 市場が大きくなるということは、そこに“儲け”があることを意味するわけで、ネットオークションによる所得には課税当局の目が光っていることも忘れてはならない。各国税局にはインターネット取引を担当する「電子商取引専門調査チーム」という専担部署があり、メルカリやヤフオクといったネットオークションで生じた所得を捕捉しようと日々監視を続けている。2022年度には、ネットオークションやネット通販取引などを対象に472件の税務調査が実施された。
 もっともメルカリなどで日常的に利益を上げていても、よほどの“人気業者”でなければ税務調査が動くことはなさそうだ。ネットオークション絡みで税務調査を受けた人の1件当たりの申告漏れ所得額は1508万円だという。

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